

「くにたち学びのビュッフェ」とは
遠くの特別な場所で開かれるイベントには、時間や費用、情報を得る力のある家庭しかたどり着けないことがあります。お子さんが一緒に参加することへのハードルも高くなりやすく、そこでよい教材や支援ツールに出会えても、地域や学校とつながっていなければ、日常の学びに結びつきにくい難しさがあるのではないかと思いました。
そこで、子どもたちや保護者が普段から利用している「いつもの場所」に、気軽に試し、相談し、地域の支援者とつながることができる場を作ろうとしたのが「第1回くにたち学びのビュッフェ」です!


手の届くサポートを体験できるように
国立市が採択している教科書の発行会社や教材会社、そして、娘をはじめ地域の子どもたちの学びを支えてくださっている専門職・支援者の皆さんに、ご協力をお願いしました。イベントの中だけで終わるのではなく、その後も地域の中で、子どもたちが実際に使ったり、支援につながったりできることを大切にしたかったからです。

国立市では、デジタル教科書の個人購入が可能です。GIGA端末では、もじソナのサイトはブロックされていませんし、Canvaが使えるのでフォント選びも柔軟にできます。AccessReadingや、ペンでタッチすると読める音声付き教科書、マルチメディアデイジー教科書も使えます。合理的配慮でiPadの持ち込みが可能なのでUDブラウザも使えます。作業療法士(OT)や言語聴覚士(ST)の巡回相談も活用できます。
けれど、こうした情報は、まだ子どもや保護者、教職員に十分に届いているとはいえません。また、学校や担当者によって、理解や運用に違いがあるのも現状です。「制度としては使える」ものがあっても、それを必要としている子どもが、実際に使えるようになるまでには、まだいくつもの壁があります。
これは、国立市だけではなく、多くの地域に共通する課題なのだと思います。すでにある支援の選択肢を、知っている人や、理解のある学校・担当者に出会えた子どもだけのものにせず、必要とするすべての子どもに届けていくことはできないだろうか。個々の努力や交渉だけに委ねるのではなく、必要な支援につながる仕組みを、地域のみんなで一緒につくっていけないだろうか。そんな思いから、働きかけを続けています。













「こうすれば分かる!」から始まるスタンプラリー
カードをもらった子どもたちはまずカラフルバードのブースに向かいました。
そこで、ルールを教えてもらうーーのではなく、タブレット端末の読み上げ機能や音声ペンを使い、自分で調べます。
説明は、あえてそのままでは読めない形で提示しました。音声ペンやタブレット端末の読み上げ機能を使わなければ、内容にアクセスできない仕掛けです。
内容にアクセスする方法は一つではないこと、そして、方法が変われば自分の力で進めることを、スタンプラリーの導入で子どもたち自身に体験してもらいました。
この体験をしてからブースを回ることで、支援ツールを「できない人が助けてもらうためのもの」ではなく、「自分でわかり、自分で進むための方法」として自然に捉えられるようになったのではないかなと思います。
当日配布したスタンプラリーカードは100枚。そのうち68人の子どもたちが、7つのブースを体験してゴールまでたどり着きました。
景品は参加のきっかけにはなります。しかし、景品が欲しいという気持ちだけで、ブースを7つも回ることは簡単ではないと思います。行く先々に「楽しい」「試してみたい」と思える体験があったことが、子どもたちを次のブースへと動かしていきました。
出展者の方から、「勉強させられるのかな」と身構えていた子どもが、体験しているうちにいつの間にか夢中になって教材を触っていたというエピソードも教えていただきました。スタンプラリーは、子どもたちを景品へ誘導する仕組みではなく、自分から学びに近づき、さまざまな方法を試していくための道しるべになりました。
今後の展望――同じ方向を向いて進んでいくために
8月18日、くにたち読み書き支援ネットワークとして、読み書きに困難のある子どもたちの学習権を保障するため、基礎的環境整備と、一人ひとりに必要な合理的配慮が届く支援体制の整備を求める陳情を、国立市議会へ提出しました。
8月24日、国立市教育委員会による全教職員対象の研修において、NPO法人エッジ会長・藤堂栄子氏による講演「ディスレクシア(読み書き困難)への理解と支援について」が行われました。
そして8月30日、この流れの中で、子どもたちに必要な支援や、実際に使える教材・支援ツールを紹介したのが「第1回くにたち学びのビュッフェ」です。陳情を提出し、研修の実施も前々からお願いしてきた者として、「支援が必要なことはわかった。でも、具体的にどう支援したらよいのだろう。」という問いにも、具体的な選択肢を示す役目があるように感じていました。
組織の中では、肩書きや役割、政治との距離などに配慮しなければならず、必要だと思っても、すぐには動けません。これは、私自身が教員だった頃には到底できなかったであろう動きです。地域の一人だからこそ、立場や所属を越えて人と人をつなぎ、柔軟に動けることがあるのだと今回あらためて知りました。
提出した陳情は、9月7日の総務文教委員会において、全会一致で採択していただくことができました。
今後も、特定の立場に偏らない地域の一人として、地域の人だからこそできることを重ねながら、子どもたちを支える歯車の一つになれたらと思っています。(カラフルバードくにたち)

