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我が子の高校受験体験記~「行きたい」で決めた、LD長男の高校受験~

LD(学習障害・限局性学習症)がある長男の高校受験。
幼稚園の頃から読みの苦手さがあり、小学校・中学校と、家庭学習や学校での合理的配慮など、さまざまな方法を試してきました。
高校受験では、最初から「私立単願」と決めていたわけではありません。
都立高校を第一志望として考えながら、私立高校も含めて学校を探し、内申を確保し、模試や合理的配慮の申請も進めました。
そして最終的に、本人が「ここに行きたい」と思える私立高校に出会い、単願で進学することになりました。
今回は、そんなわが家の高校受験を振り返ります。


「読めていない」と気づいた幼稚園時代

長男の読みの苦手さに気づいたきっかけは、幼稚園年長の冬の個人面談でした。
担任の先生から、
「長男くんだけ、壁面の歌詞が読めていません」
と言われました。
それまでも、家庭では「なんかおかしいかも?」と感じていました。
でも、はっきりと「読めていない」と指摘されたことで、長男の読みの苦手さを改めて認識しました。
そこから、区の教育相談や療育センターに連絡し、予約を進めることにしました。
就学相談の時期はすでに終わっていましたが、「このまま様子を見る」のではなく、まずは相談してみようと思ったのです。
ここから、長男の読み書きについて、いろいろな支援や方法を探していくことになりました。


小学校では「困っていないように見える」

小学校1年生の家庭学習では、通信教材の冊子タイプを利用していました。
ところが、長男は問題文を読むこと自体がとても大変でした。
私が問題をほとんどすべて読み上げるような状態です。
これは、本人にとっても私にとっても、かなり大変なことでした。
そこで、小学校2年生からは、同じ通信教材のタブレットタイプに変更しました。
タブレットなら、問題を読み上げてもらいながら進めることができます。
長男にとっては、紙の教材を私が読み上げ続けるよりも、自分で学習を進めやすくなりました。

音読の宿題には、iPadのマルチメディアDAISY教科書も利用しました。


小学校では、テストでそれなりに点数が取れていました。
漢字の小テストでは苦戦しても、親子で一夜漬けをすると、そのときは高得点を取る。
一見すると、「勉強ができない子」には見えません。
でも、覚えたことが定着しているわけではありませんでした。
小学校2年生から5年生までは、特別支援教室も利用しました。
情緒面では成長を感じた一方で、読み書きについては、なかなか本人の困難さに合った支援につながりませんでした。


「読めなくて、何もできない」

長男の困難さを強く実感した出来事があります。
小学校3年生の授業参観でした。
総合の授業で、
「東京オリンピックに出場する競技を画用紙にまとめよう」
という課題が出ていました。
教室へ行くと、長男は机に突っ伏して泣いていました。
初めて見る文章が読めなくて、何をしたらいいのか分からない。
課題に取り組むことができず、何もできない状態になっていました。
それまで私は、長男のテストの点数を見て、
「それなりにできている」
と思っていたところもありました。
漢字の小テストで苦戦しても、親子で一夜漬けをすれば、そのときは高得点を取る。
でも、テストのように「答えが分かっていること」を思い出して答えるのと、
初めて見る文章を読んで、その内容を理解し、そこから自分で考えて取り組むのとでは、大きな違いがありました。
普段のテストの点数だけを見ていたら、長男がここまで困っていることには気づけなかったかもしれません。
「点数が取れている=困っていない」ではない。
この授業参観で、私はそれを強く実感しました。

一方、小学校6年生の授業では、ChromebookのGoogleスライドを使って、自分の好きなものをまとめました。
長男が選んだのは、電車です。
好きなことなら、調べて、まとめて、発表できる。
その発表は、クラスで一番わかりやすい発表になりました。
「できないこと」だけを見ていると、見えないものがある。
この頃から、そんなことを感じるようになりました。


中学校での家庭学習

中学校に入ってからもしばらくは、タブレットを使った家庭学習を続けていました。
ところが、中学1年生の最初の中間テストで、思うような成績を取ることができませんでした。
そこで改めて、長男の勉強の様子を見てみました。
タブレット学習では、問題を間違えても、
「さっきとは違う答えを選ぶ」
そして正解すれば、
「次の問題へ進む」
ということができてしまいます。
「分からないところを理解して、できるようになった」というより、画面上で先へ進んでいるだけになっていることがありました。
そこで、中学1年生の夏から塾に通い始めました。
選んだのは、タブレットと紙の教材を組み合わせた、いわばハイブリッド型の塾です。
タブレットで授業動画を見る。
冊子の問題を解く。
分からないところは先生に聞く。
タブレットの「自分のペースで進められる」という良さを残しながら、紙に書いて問題を解くこと、人に質問することも組み合わせました。
この塾には、中学校卒業まで通いました。
家庭学習も、
「タブレットならできる」
ではなく、
「タブレットを使って、どう学ぶのか」
まで考える必要がある。
この経験は、私自身にとっても大きな気づきでした。

中学校が明治図書のワークを採択していたので、マナビリアを活用していました。
書きに困難はありませんが、採点が楽なので、家庭学習で使用していました。
学校に提出する課題は、冊子を提出していました。
学校によっては、設定を億劫に思い、使用させてくれない学校もあるようです。
その際は、明治図書さんに問合せしてみてください。


中学校での合理的配慮

中学校では、定期テストについて、合理的配慮を申請しました。
読み上げ、ルビ、フォントなどです。

また、特別支援教室も利用しましたが、本人のモチベーションが続かず、途中で退室することになりました。
一方で、学習方法や環境を工夫することで、得意な教科では力を発揮できるようになっていきました。


高校探しは中学1年生から

高校受験については、「中3になってから探せばいい」とは考えていませんでした。
きっかけは、特別支援教室の保護者会でした。
そのとき、特別支援教室の卒業生である高校1年生の生徒たちが、高校探しについてプレゼンをしてくれました。
実際に高校受験を経験した先輩たちの話を聞いて、
「発達特性のある子どもに合う高校を探すなら、早めに動いたほうがいいな」
と思うようになりました。
発達特性のある子どもに合う学校を探すのは、思っていた以上に大変です。
そこで、中学1年生の頃から、いろいろな合同高校説明会に参加しました。
さんだる相談会、中学校PTA連盟主催の高校説明会、その他の合同説明会、都立高校の合同説明会。

そして、実際の高校の説明会や文化祭にも足を運びました。
もちろん、中1の段階では、まだ「この高校に決めた」という学校はありません。
いろいろな学校を見ながら、
「長男に合うのは、どんな学校だろう?」
と探していました。
学校の雰囲気、授業の様子、通いやすさ、どんな生徒が通っているのか。
実際に足を運んでみないと分からないこともたくさんありました。
今振り返ると、中1からいろいろな学校を見ておいたことで、「高校ってこういうところなんだ」と親子で少しずつイメージを持つことができたのだと思います。


最初は「都立第一志望」

中学3年生になった頃も、最初から私立単願を考えていたわけではありません。
都立高校を第一志望にして、私立高校は併願校を探す。
そんな受験を考えていました。
そこで重要になってきたのが、内申点です。
希望していた私立高校の基準は、

  • 単願:内申2x以上
  • 併願:内申2x以上

でした。
中3の1学期の段階では、単願の基準はクリアしていましたが、併願の基準には少し届かない状況でした。
この時点では、まだ受験方式を決める段階ではありませんでした。
そこで、2学期に向けて、できるだけ内申を確保していくことを意識しました。
そして、部活動での部長職と数学検定3級による加点もあり、結果的に私立高校の併願基準をクリアすることができました。
「都立を第一志望にしながら、私立の選択肢もしっかり残す」
そのために、内申を確保していったという感じです。
この時点では、まだ「単願にする」と決めていたわけではありませんでした。


Vもぎでも合理的配慮

受験に向けては、模試でも合理的配慮を利用しました。

長男の場合は、

  • ルビ
  • 別室での読み上げ
  • 時間延長

などです。
実際の入試でどのような配慮が必要なのかを考えるうえでも、模試で経験しておくことは大切でした。


都立入試の合理的配慮を申請

11月に、私立高校を単願で受験することを決めました。
ただ、万が一、私立高校が不合格だった場合に備えて、都立高校の一般入試を受けられるよう、合理的配慮の申請は進めることにしました。
「私立単願に決めたから、都立の準備はもう必要ない」
とはせず、最後まで万一の場合に備えておくことにしました。
12月中旬ごろ:配慮の申請
まず、中学校に申請書類を確認してもらいました。

提出したのは、
「学力検査等実施上の配慮申請書」です。
※ルビ、別室での読み上げ、時間延長、フォントの変更(UDフォント)

中学校に申請内容を確認してもらい、校長印をもらったうえで、中学校から都立高校へ送ってもらいました。
申請後:「受付書」が届く
その後、
「令和8年度東京都立高等学校入学者選抜の実施に伴う学力検査等実施上の配慮申請受付書」
が届きました。

その後、申請した配慮の内容について確認がありました。
長男が申請した配慮のうち、一部については実施できないという連絡がありました。
それが、UDデジタル教科書体のフォントです。
希望していたフォントは、都立入試では使用できないことが分かりました。
一方で、それ以外に申請していた配慮については、許可されました。
「配慮の決定について」の通知
最終的に、
「令和8年度東京都立高等学校入学者選抜の実施に伴う学力検査等実施上の配慮の決定について(通知)」
が届きました。
都立高校を受験する方で、配慮の申請を考えている場合、早めに中学校と確認しておくとよいと思います。

そして、1月22日ごろ。
私立高校の単願入試に合格しました。
これによって、都立高校を受験しないことが確定しました。
「これで受験関係の手続きも終わり!」
……と思っていたら、最後にもう一つありました。
2月上旬、中学校から、
「都立入試の配慮決定通知を差し戻してください」
と言われたのです。
決定通知の紙は、返却を求められるとは思っていなかったので、保管しておいてよかったです。
紙、捨てなくてよかった(笑)。


「行きたい」を大事にして進路を決める

最初は都立第一志望。私立は併願。
そのために内申を確保して、私立の選択肢を残す。
都立入試の合理的配慮も申請する。
そこまで準備していました。
でも、最後に長男が選んだのは、
「行きたい」と思えた私立高校でした。
LDがある。
読み書きが苦手。
だから「できるだけ困らない学校」を探す。
もちろん、それも大切です。
でも、それだけではなく、
「ここに行きたい」
という本人の気持ちも大切にしたい。
そう思いました。


高校生活が始まって

入学後は、クラス全員に、
「板書が間に合わなければ、iPadで撮影してよい」
と周知されたそうです。
※それを長男から聞いて「他にも特性のある子がいるのかも?」と思いました。

そして、長男が楽しみにしていた鉄道部にも参加しています。
好きなことがある。
その「好き」が学校生活の中にある。
それだけでも、本人にとって大きな意味があるのだと思います。

高校に入学して、まだ半年ほど。
既に大学進学に向けて動き始めています。
高校受験を経験して、
「3年間はあっという間」
ということを実感したからです。
まずは大学の学校見学。
これまでに4校を見てきました。
その中で、
「ここに行きたいかも」
と思える大学が見つかりました。
もちろん、まだ進路を決めたわけではありません。
これから別の大学を見て、また気持ちが変わるかもしれません。
それでも、高校1年生の今、
「行きたいかもしれない」
と思える場所が見つかったことは、大きな一歩だと思っています。


高校1年生で「目標(仮)」を持つ

今の段階では、まず総合型選抜について調べています。
現在の評定を見ると、トータルと数学については条件をクリアしています。
一方で、英語はまだ足りません。
それが分かったことで、
「じゃあ、今、何をすればいいの?」
が具体的になりました。
もちろん、大学も受験方法も、これから変わるかもしれません。
だから今の目標は、あくまでも「仮」です。
でも、「仮の目標」があることで、今やることが見えてくる。
これは、高校1年生の今だからこそ大切なことなのかもしれないと思っています。

また一般受験することも想定し、2年生になったら病院で検査を受ける予定です。
色んなパターンを想定していくことが大事だと思っています。

※時期によってはWAISを受けるかもしれません。


今の活動も、記録しておく

総合型選抜について調べていると、高校生活の中での活動についても考えるようになりました。
今後、何かの活動が受験でアピールできるものになるかもしれません。
でも、今の段階で、
「この活動を受験に使う!」
と決めているわけではありません。
だから本人には、
「今は受験に使うか分からなくても、活動したら写真とか記録を残しておこう」
と話しています。
使うかもしれない。
使わないかもしれない。
でも、残しておけば、後から選ぶことができます。
高校受験のときも、大学進学に向けた今も、わが家で大切にしているのは、
本人の「行きたい」を出発点にすること。
最初から正解を決める必要はないのだと思います。
高校受験では、都立を第一志望として準備していました。
私立の併願基準を意識して内申を確保し、合理的配慮の申請もしました。
そして最後には、本人の「行きたい」という気持ちを大切にして、私立単願という選択をしました。
次は大学受験。
まだ高校1年生なので、これから別の大学が見つかるかもしれません。
でも、今の時点で「ここに行きたいかも」と思える大学がある。
だから、その大学に行くために、今できることを調べています。
「行きたい」が見つかると、「今やること」が見えてくる。
これは、長男の高校受験、そして大学進学に向けた今の動きを通して、私が感じていることです。
高校3年間も、きっとあっという間です。
だからこそ、高校1年生の今から、少しずつ大学進学についても動き始めています。
これからどんな進路を選ぶのかは、まだ分かりません。
でも、本人の「行きたい」を大切にしながら、これからも一緒に探していきたいと思います。

この記事は、2026年4月29日に開催された、高校受験報告会2026で使用したスライドをもとに作成しました。

長文になってしまいましたが、お読みいただきありがとうございました。(K)

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