『LDっ子の受験報告』は、LDのある子ども達の受験体験談をご紹介するコーナーです。合理的配慮のコーナーで載せきれない、さまざまな方の受験までの道のりをご紹介していければと思っています。
LD長男のドタバタ高校受験記~その② 迷走と志望校決定~
さてさて、その①に引き続き
最終的には、その①に書いたような情報が集まりますが、もちろん一気に集まったわけではありません。

ただ、早い段階で私立の推薦倍率が1.0なことには気づいた私は、そのカラクリにはまだ気づかないまでも、早めに私立で志望校が決まってしまえば、なんとかなるのでは?と思ってしまいました。
そこで私立に絞って学校探しを始め、中1の3月に良さげな学校を一つ見つけます。長男の好きな分野専門のA校。
ちょっと遠いけど寮がある。説明会に行ったら本人も乗り気だし、近年定員割れしているし、試験はどうやら面接のみなので配慮の申請も必要無し。
必要評定は9科28…てことはオール3+1か。うん、程よいかも。今はオール2に近いけど、数学は3だし頑張れば4を取れるだろうから、あとは全体をあげて…てか、あと1年半あるし、目標が決まってこの時期から対策すればオール3には届くでしょう。28あればあわよくばほかの選択肢もあるかもしれないし~…なんて。
今思えば現実が見えて無いにも程がありまして。
先輩ママが言ってたじゃないですか。『成績は現状から上がらないと思え』てね!
そこから1年半、目標を定めて色々頑張るんですが、ほんんんんんんんとに成績が上がらないのです。なんなら下がったかも。上がらないとは聞いていたけど、下がるなんて聞いてない。
中3の1学期。親は入試の準備を進めるが
そして迎えた勝負の中3の1学期。
出来れば手書きがない入試が希望だけれど、最悪一般試験にもつれ込んだ時の合理的配慮申請に備えて、中3の一学期の定期試験は、中学でタブレット回答の合理的配慮もやらせてもらえました。
詳細はこちら。

そして入試に向けて、LD関連の検査を一通り受け直すのも中3の夏と決めていたので、このタイミングでやりました。
ところが、こちらが着々と入試への備えを整えていく傍ら、本人曰く一生懸命やったらしいのに岩のように動かぬ成績。担任からは「…本当に提出物、出してますか?」と電話がかかってくる始末。
『評定が1~2点足りないくらいなら担任が頑張ればなんとかなる(こともある)』と、先輩ママが言っていました。
でも、1~2点どころではない!全然届かないまま夏休みに突入ですよ。

夏休み。A校の個別相談へ
『私立はとにかく通え。爪痕残せ』と先輩ママが言うもんで。
A校へは中1の終わりから計4回くらい説明会や文化祭に行きました。ここしか無いんだよ…ここへ行くんでしょ?と洗脳しながら。
しかし、こんなに通ったのに結局A校を受けるのに必要な1学期の成績が全然必要評定に届いていない…行けないじゃん。
それなのに三者面談で担任が言うのです。
「昨年の実積を調べましたが、定員割れしてたんで大丈夫です。少子化なんで。相手も必死ですから。私立は意外となんでもアリです。とりあえず個別相談に行ってみてください」と。
ちなみに担任は元私立中高一貫校の教員。私立の裏を知り尽くした男です。
彼がそう言うから全然届いていない成績を持ってA校へ行きました。半信半疑でしたが、全然評定足りないのに「受けても良いよ」と本当に言われました。入学後の合理的配慮にも理解を示してくれました。
…しかし、そう言われると逆に不信な気持ちがモクモク湧く私。
必要な評定は、つまり入学後にその学力があること前提に進む環境ということ。受けてもいいよと言われても、こんなに評定足りないのに入ったら、入った後についていけないのでは…留年はイヤざます。
などと会場で考えていたら、次年度からA校そのものに改革に入ることが発覚。
さらに、長男が志望する学科が来年から廃止されることが判明。ついでに当てにしていた寮の設備の改悪も判明!
・・・んん?これは・・・呼ばれてない気がする・・・
急遽方針転換。他校を視野に
行きたい学科が無くなり、寮が改悪されたA校。
これでは行く意味が無いし、私の直感では経営陣にも不信感…本人に路線変更をと説得にかかるけれど、「ここしかないよ」にしっかり洗脳されているし、夫は本人が行きたいんだから行けば良いと言うし。
一年以上前からA校目指してやってきたのに、中3の夏になぜか完全迷子の高校受験。
とりあえず、他の候補を探してみて、それで本人が気に入る学校が無ければA校に戻ろう…と近隣、都立B校と私立C校の説明会に申込みます。
A校へ未練タラタラの渋る長男とまずはB校説明会当日。…うん、なんか違う。本人もテンション下がり、ここは違うと言っている。やばい、後が無い。
続いて数日後にC校の説明会。自宅からはかなり通いやすい立地。ただしネットのレビューは最悪なので、なんとなくイメージが悪かったけど、なぜかここ数カ月でイメージが変わる出来事が立て続けに起きて辿り着いたので、私はちょっとご縁を感じているがどうだろう?
そう思いながら校内見学の時に長男の様子をうかがっていると、表情が目に見えて明るくなり、そして口を開いた。「ここが良い、ここに来たい」
私は心の中で大きくガッツポーズ!なぜならC校の単願推薦の評定は、A校よりずいぶん低く、1学期の成績ですでに届いているから。しかもC校は「1学期2学期の成績が良い方を入試で使ってよい」と公式アナウンスがあるので、2学期にどれだけ成績が下がってももう大丈夫。A校という目標が無ければ届いていなかったかもしれないけれど、それを目指していたからC校には届いた…ありがとうA校、さようならA校。
合理的配慮の確認へ
9月にC校の説明会にもう一度出て、長男が「ここに決める」というので、次は個別相談で一番大事な合理的配慮の確認へ。
推薦入試は面接だけ、一般試験はオールマークシートだから入試の合理的配慮は必要無いはず。なので、聞くのは入学後に相談可能かどうか…。ICT活用をかなり推している学校だから理解があってほしい。
個別相談が始まると、推薦入試の評定が足りていることを確認され、専願で受けることも伝えてお互いにいい空気…の中、恐る恐る切り出す、何度やっても一番緊張する瞬間。
「息子は学習障害があるのですが、合理的配慮についてお聞きしてもよろしいでしょうか…」
すると、少し驚いた顔をされながら「診断書は出せますか?」と聞かれ「はい、もちろんです」と答える。
さらに、「中学でいま受けている配慮について詳しく教えてください」と聞かれて、日々のノートテイクや定期試験タブレット回答のことを伝える。
そこからは親切に色々と話してくださり、個人で判断できないことは管理職にまで聞きに行ってくださり、中学の合理的配慮の手厚さに驚かれ「同じことは出来ないかもしれない」とは言われつつ「出来ることを相談しながら進める形で」との話の流れにふぅ、やれやれと緊張が抜けていきます。
…面接シートとは?合理的配慮の申請が必要?
面接のみの推薦入試が決まり、入学後の配慮もひとまず拒絶はされていなかったし、私は完全に油断モード。しかし、相手の先生が今取ったメモを見つめながらなにかを考えている…なんだろう?…と思っていたら
「あの、推薦入試なんですけど…試験自体は面接だけなんですが、当日、面接前に手書きする『面接シート』がというものがありまして。えぇ~、今のお話だと、それに合理的配慮が必要ということですよね?」
……は?、、え!?(その③へ続く)
By あさこ


