『LDっ子の受験報告』は、LDのある子ども達の受験体験談をご紹介するコーナーです。合理的配慮のコーナーで載せきれない、さまざまな方の受験までの道のりをご紹介していければと思っています。
LD長男のドタバタ高校受験記~その① まずは受験を知るところから~
はじめに
「…とにかく成績が悪すぎるっ…!!こんな成績で入れる高校なんてあンのか?!」
これは、私がこう思って本気で頭を抱えたLDっ子長男の中1半ば頃から、周囲の温かい方々に(主に私が)支えられ、振り返れば「ご縁」というものにしっかと導かれて、なんとかどうにか高校受験を無事に終えるまでのお話です。
終わりよければすべて良し。喉元過ぎれば熱さを忘れる。終わった今となっては笑い話もてんこ盛りですが、当時の正直なところは、学習障害がどうとか、入試の合理的配慮をどうするとか、前向きに戦略を練るなんて無縁も無縁、それ以前の問題が山積みで。
むしろ、この成績なのに学習障害もあってどうしようとか、こんなに成績が悪いのに入試で合理的配慮を受けられなかったら詰むとか、そっちの恐怖の方が大きくて、なのに本人は危機感ゼロで、定期試験のたびに長男と大喧嘩をしながら進んできました。
今回、すでに消えそうなこの記憶を、文字に残す機会をくださったカラフルバードさんに感謝です。そしてもし、当時の私のように「我が子は高校に行けないのでは…!」と不安に思っている方がいたら、少しでも希望になれば報われます。
■受験は情報戦!勝つにはまず、相手を知らねばならぬ
我が家の長男は書字障害診断済みのLDっ子。書くことに労力がかかるので書きながら何かをするのは困難。書字は壊滅でノートは難読。そして漢字はほぼ読めるけど想起は出来ないタイプ。中学ではICTによるノートテイクを入学時から解禁してもらい、中1の半ばからは社会科は「ひらがな回答でも○」の合理的配慮を受けていました。


こんなLDっ子を抱え、ただでさえ超絶不安な高校受験。しかも私には、もう1つ自分を不安にさせる大きな要因がありました。それはズバリ「東京都の高校受験の仕組みがわからない」こと。
私も夫も地方の公立高校出身。さらに私の地元は全国でも珍しい私立高校がほとんど存在しない、99%の中学生が県立本命一本で受験をする特殊な地域なので併願することにさえ超初心者。高校を探すのはもちろんだけど、その前にちゃんと仕組みを知らないと戦い方が分からない・・ということで、情報収集を開始します。
●思い込みだらけの自分を痛感
時代なのか、地域なのか、はたまた両方か。調べていくうちに私は色々と自分が多くの思い込みを持っていたことと、現実はそうではないことを知っていきます。
特に思ったのは以下の二つ。
- 通信制高校も決して甘くないこと。
- 最近は普通科ではない商業科や工業科に進学しても、思ったほど大学進学に影響がないこと
長男、もしや高校に行けないのでは?と思ったときに、手っ取り早く頭に浮かんだのが通信制高校。世間一般おなじみの全日制高校よりも入試のハードルも低そうだし、いざとなったら通信制もアリだな。最近は色んな選択肢があってありがたい…なんて思っていました。が、その話をした中1時の塾の面談で塾長から、言葉を選ばれながら衝撃の一言。
「…長男君は、おそらく通信制に行くと卒業できないと思います。通信は、入るのは簡単ですが、モチベーション、向上心、自己管理が出来ないとその後がかなり厳しいです。お勧めできません」
ガーン…。全部出来ない長男…。私も高校に入ってまで彼の学習のお世話なんかしたくない。絶対イヤ。手取り足取りは中学までよ。と、いうわけで通信はこのタイミングで却下です。
しかものちに分かったのですが、長男の友人が通信制高校を受験した際、作文の提出があったとのこと。通信制高校こそ、合理的配慮など通ったかどうか分からず、書字LD長男にはまったく緩くない受験になった可能性もありました。
また、長男の場合、好きな分野が普通科の学習に1㎜もかすらないのに普通科に行く意味があるのか?というのも悩みの種でした…けれど、田舎者の私には正直抵抗がありました。それは普通科に行かない=ほとんどが就職。進学できない。というイメージだったから。
ところが、よくよく調べてみると最近は普通科の高校じゃなくても進学実績がそれなりにあることが判明し、それならばと全日制専門科高校に進学する方へ一気に舵を切ります!
●集まる先輩ママ情報
一気に舵を切ったとて、受かるのか?というのは別問題。そもそも普通科を外した時点で選択肢だってほとんどない。
こういう時にありがたいのは地域密着型の生の情報です。私は口から不安が駄々洩れるタイプなので、あちこちで「息子の成績が悪すぎていける高校が無いー!!」と漏らしておりました。
すると、心配した周囲の先輩ママさん達、本当にたくさんの人たちが色んな情報をくれました。(でも最近分かったのですが、誰もうちの長男の成績がここまで悪いとは思ってなかったらしいです。笑)
最終的に集まった情報は、以下の通り。(※学力相応校を受けることが前提)
- 成績は現状からほぼ上がらないと思え。特に中2の学年末からは上がればラッキーだが、ほぼ固定と思って進めよ
- 都立入試は内申=成績表9科目の評定の合計。生徒会活動や部活動、大会成績などは、都立入試において自己アピール材料になるだけで内申に直接的な加点あるわけではない。なので、都立入試の加点目的でそういう活動をしても何の意味もない。私立は学校によるし、調べれば募集要項に書いてあるから加点があるものを確実にこなせば良い。
- 狙う私立が決まったらとにかくイベントの度に通え。そして記名して爪痕を残せ。
- 都立一般入試はマークシート。私立は学校によりけり。
- 都立推薦は明確な出願ボーダーラインが無く、受けたいと言えば誰でも受けられるけど、その代わり合格は五分五分。人気校は受かればラッキーの大激戦。
- しかし、対策をしっかりやった子は評定が低めでも逆転合格の実積あり。
- 都立推薦のスポーツ文化枠は意外と穴場(ガチ勢は私立にスカウトされるから)
- 私立単願推薦は、出願ボーダーラインがあるけれど、その代わりそれをクリアしてきちんと手順を踏んで出願出来ればほぼ受かる。
- 私立単願推薦は、評定1~2足りないくらいなら、中学の担任が頑張ればなんとかなることもある。特にスポーツ推薦は結構なんでもアリな印象(※個人の印象です)
- 私立の単願推薦は、偏差値低い学校は面接のみが多い(=書かなくて良い!)。偏差値高いと作文やグループディスカッションなども。都立は面接+α(作文、小論文、グループディスカッション、専門科高校は実技もあり)
- 都立一般入試は、定員割れしていれば全入だよ♡
- 私立一般入試は、よほど身の丈に合わないとこを受けない限りは単願ならほぼ、落ちない。併願も評定をクリアしてれば落ちないし、都立落ちたらそっちに行ける
- 3月に二次募集が出ている学校は2月の一次で埋まってないってことよ。つまり一次は受かりやすい。
- 私立なら都外も受けられるけど、評定基準が違って都の方が厳しいらしいから、逆に合格も厳しくなるらしい。
▶参考:進学会 過去の入試情報(リンク先https://www.school-data.com/exam_archives/past.php)
▶参考:新教育 School Guide Web (リンク先:https://www.schoolguide.ne.jp/news/entry/entry001054.php)
▶参考:2025年度国立高校・高専・私立高校入試結果(リンク先https://www.ikushin.co.jp/school/pdf/00513.pdf)
もう一度書きますが、先輩ママたち個人の情報なので「主観が入る点」と「学力相応校を受ける場合に限る」という点は注意ですよ。
ただ、情報が集まるうちに私は思うのです。
あれ?なんだか中卒にならないように、都をあげてのセーフティネットがすごくない?特に私立…え?…面接のみ?配慮申請いらんやん…え?一般でも単願なら落ちない?
え…。私立の推薦がいいな…(その②へつづく)
By あさこ


