『LDっ子の受験報告』は、LDのある子ども達の受験体験談をご紹介するコーナーです。合理的配慮のコーナーで載せきれない、さまざまな方の受験までの道のりをご紹介していければと思っています。
うたたね家の中学受験についての報告、前回の記事はこちら

本格始動・親先生塾勉強法
急遽中受をきめた「うたたね家」。 さて、初めて受けた模試を基準に動き始めました。 受けた模試は首都圏模試のみです。 6年で初めてうけた模試の偏差値はすいぶん低め。だけど(今まで学校のテストくらいしか受けていない中、結構とれたな。)と思ったのが第一印象でした。
ただし6年は周囲も伸びてくる時期なので、上がってもここからプラス10…も上がらないかな。上がって8くらいかな。上がればいいな。でも下がるかも。という感じ。そして模試の問題を見ると、まだ小学校で習っていない内容だったり、中受でしか出ない特殊算もこれまで見たことがなかったりだったので、これを全部遡ってやっていたら、勉強しているうちに試験本番がきてしまう…とも思いました。 ちなみにこの時点での偏差値は、実際に進学した中学の合格偏差値には随分届かない値でした。
受験勉強の仕方
続いては、低偏差値からスタートする中堅以下中学を目指す「うたたね家・突貫工事受験勉強法」です!
主人と相談した基本方針はこちら。
- 偏差値を上げるというより、狙う中学に受かるためだけの勉強
- ついでに偏差値があがるといいね
- 模試は偏差値をみるだけじゃなく解いた後の解答用紙をチェックし確認するもの
- 親が過去問を手分けして解き、研究して傾向をつかむ
- 捨てるとこ、やるとこを取捨選択、出なさそうなところはばっさり切る 息子ができているところとできていないところを確認して、志望校だけをみて合格最低点を狙う、志望校中学を受けて受かるためだけの勉強にしよう
勉強法の基本は、 日能研のベストチェック国語、算数、理科、社会を繰り返し解くこと。 基礎!基礎!基礎!基礎!とにかく基礎のみ。
それに加えて ・旺文社『できる子図鑑』理科社会 ・NHK forスクール・志望校の過去問と志望校の過去問傾向に似た他校の過去問、同じような出題傾向の過去問。 なども使っていました。
算数
さらに科目別に補足していきますね。 まずは算数。 息子は算数が本当にできなかったので、さらに念入り、かつ取捨選択をハッキリさせた対策が必要でした。 前提として息子は問題集付属の解説を読んでも、読んで理解をすることに人の何倍も時間がかかります。 だから、まずは、ゆっくり一度、親が一緒に問題を解く。
そして、主人が息子の間違ったところを(付属の解説書だと「わかっているよね?」と言わんばかりに、ひと工程にまとめてしまっているものもある)丁寧に分解して、ほぐして解説し、式の意味を解説したり、問題以前の語句で分からないことを解説したり…と基礎的なことも書き込みながら、注釈をいれて息子専用解説書を作りました。
また、計算問題は、それとは別に他校や市販の過去問や計算問題集から息子の傾向を鑑みて、 ①簡単にとけるもの ②ちょっと難しいが解けるもの ③過去とけなかったもの、その類似問題。 を問題を取り出して慣れさせる。 ここで注意したのは難しい問題ばかりだと途端にやる気を失うので、解ける問題がある状態をつくること。
これを朝と帰りの通勤時に主人が作り、それを帰宅時に息子に渡し、逆に前日や朝に息子にやるように指定しておいた問題を、帰宅後の主人がみて、まるつけをして、一度解説する。 そして間違えたものは、もう一度横に座ってやらせて、それでも解けないものをチェックし、間違えた問題と類似した問題と新しいページなど、やっておくべき箇所を指定。 次の日はそこをやる。の、日々それの繰り返し。
また、過去問を見てだいたいの傾向をつかみ、その志望校の特殊算のレベルと種類を確認。特殊算をすべて網羅する時間はないので、手を出すのは出題される確率の高いもののみ。本当にそれしかやりませんでした。 それらを息子にやらせてみて、できているところは抜いたり、苦手なところをよそから似たような問題を持ってきたり、状況と理解力をみて間引いたりしてやらせていました。 とにかく基礎問題を確実にとる戦略で基礎しかしない、を徹底しております!
国語・社会
国語と社会は母が担当でした。
国語の慣用句、ことわざ、漢字はフラッシュガードのように覚えさせたり、テストしたり。覚えらない漢字は拡大してあるものを購入したり、覚え方書いて部屋に貼ったり。その後、覚えられない慣用句、ことわざはチェック。再度定着まで定期的にチェックしつつ繰り返す。 音声を使ったり、母が読み上げて覚えさせたり、母と遊びながら覚えさせたり。
文章題は、母が息子の横に座って、まずは息子に、文章のどこからひっぱってきて、なぜそういう答えになったか、のみを説明させて、母が淡々とそれを聞く。そこから、自分の考えや、経験で文章をつくらないように、テストの文中から答えをとってくることのみを徹底させる。 読みとりは、どうしても人より時間がかかるので、わかるところは確実に取る作戦。また、息子が問題用紙と回答用紙のどこを見ているのか、など目の使い方を母が意識的にみていました。
社会は、範囲が広いので過去問を見て、手を出すのは過去問の実積的に出る確率の高そうなところ、あとは感覚的に出そうだなと感じるところのみ。 そしてもちろん社会も基礎だけ。 基礎を大事に、基礎以外は手をださない勇気! 苦手なところは、手を替え品を替え、問題を出して定着をはかる、の繰り返し。 できてないところは動画見せたり、関連CDを聞かせたり。 母が解説しつつ、過去問の出題率が高い範囲を優先的にやらせる。
あとは、息子へ「お母さんに授業をして」といって、教えたところを再度母にむかって授業をさせていました。そして母が質問して答えさせる。それであやふやなところは母が再度解説です。

ちなみに新聞は、朝日小学生新聞を前からとっていて家族で読んで話をしていました。また、ニュース番組も小さいころから解説したり話をしたりしながら家族と一緒に見ていました。ニュースは「NATO 北大西洋条約機構」などとアナウンサーが略語と日本語を必ずセットで読み上げてくれるので、語彙が自然と耳に入って覚えられます。普段それを聞いていたおかげで少し用語が頭に入っていた為、訳も分からず丸暗記するはめにならず、助かりました。
ただし、時事問題も「掘り下げない」。過去問で時事問題の取り扱い方や、記事などからどの程度問題を読みとらせるのか、問題の作り方の傾向をみて、回答のひな型やパターンを繰り返し確認し、定着させるようにしました。 とにかく深追いせず、こどもが受けたい学校の出題傾向を見て、志望校のレベルを見極めて、それ以上はさせていません。


理科
理科は得意だったので、苦手なところのみを主人が解説していました。 学習の中で気を付けたのは、難しいものばかりをやらせない。できないことばかり言わない。できない問題ばかりさせない。 できている、できるようになっている。ということを折に触れ、過去の回答用紙を見せたりして「少しずつできるようになってる。がんばってる」ということを親が意識的に本人に伝えるように、また、本人に意識させるようにしていました。
その他の工夫
それから、土日で主人が休みの日は朝からファミレスやカフェ、図書館、公用の自習スペースなどを親子ではしご。家で勉強より外で勉強していました。ふたりで長時間勉強をおしえている&教わっているとどうしてもお互い反抗的になったり声を荒げてしまったりするので、外で人の目があるところで長時間勉強をするようにしていました。 (この問題できたらドリンクバーのんでいいよ。とか、ここまで終わったら移動しよう。など目先の楽しみや強制的に気分転換するなどで乗り切りました)

また、勉強とはすこし脱線してしまいますが、 自費療育で通っていた先生が、勉強における視線や目の使い方をマンツーマンで教えてくださったり、座り方や体幹など、勉強の前段階の下地をつくってくださったりして、受験の伴走をしてくださりました。先生の事務所の空いている時間を自習に使わせてくださったり、息子の愚痴をきいてくださったり、親の愚痴をきいてくださったり、アドバイスくださったり、叱咤激励してくださったり…と、全方向からフォローしてくださったことがありがたかったです。我が家の精神的支柱でした。
ほかにも、昔からの習い事の先生が、ちょうど前の年に同じ地域でお子さんが中受をされていたので、中学受験や学校について、前受け校について詳しく教えてくださり、そのお子さんが試験直前に勉強を見てくれたり、息子を励ましてくださったりして、ご協力いただけたのも本当に助かりました。 さて話を戻し、勉強を進める一方で、学校探しもすすめなければなりません。
(次回、学校探し編へつづく) byうたたね

