『LDっ子の受験報告』は、LDのある子ども達の受験体験談をご紹介するコーナーです。合理的配慮のコーナーで載せきれない、さまざまな方の受験までの道のりをご紹介していければと思っています。
今回は、にゃー家の中学受験についての報告の第一回です。
1、はじめに
ASD(過敏、こだわり、時間感覚弱)、ADHD(不注意)、DCD(指先の微細運動)、LD(ディスレクシア、音韻弱)という複数の発達特性があります。これらの特性のうちの一つが学習を困難にさせているわけではなく、むしろ複合的に影響しているため学習に困難が生じているタイプです。文章作成がとても苦手で現状では要支援と言われています。
2、小学校低学年の頃
小学校低学年の頃は、発達に課題があるとは気づいていませんでしたが学校からの荷物を持ち帰れないことがよくありました。当時は読み書きにほとんど問題がありませんでしたが生活習慣管理ができないことが多く中学校以降で内申を取ることに困るだろうと考え、中学受験を考え始めました。なお、読みに問題がないように見えたのは学校の教科書の内容の場合は文章を聞いてある程度覚えていたからだと後でわかりました。ちなみに日記はほぼ一言プラス「楽しかった」「面白かった」以外は書かず、これは高学年まで続きました。
3、保護者の中学受験に対する考え(高校受験を選択した場合)
私たち保護者は公立中学から公立高校へ進みました。中学3年間で高校受験の勉強、高校に入学したら即次の進路を考えることは正直きつかったというのが互いの感想です。中学では高校受験のことを考えずに学校での勉強や活動を素直に楽しめる環境の方が良いという意見が一致しました。
4、新小3
塾を選び始めました。小3から通塾を開始した理由は娘の学校の友達が公文などに通っていて自分も学習塾に通いたいと伝えてきたことも理由の一つです。自宅からの距離、通塾回数、校舎の規模から選びました。当時は塾の難易度のことはあまり考えませんでした。通塾回数を考慮に入れたのは習い事との兼ね合いがあったためです。小4から習い事の整理をしましたが、その分療育が加わったので結果的に正解でした。
5、 小3、コロナ禍で発達に課題があることが判明
休校中に自宅での癇癪がひどくなり、漢字も急激に覚えられなくなりました。とにかく様子を観察し、なんとか受診に漕ぎつけました。当初は書字が苦手なのはASD由来と思われていましたが、ディスレクシア、不注意、DCDに原因があることがわかりました。書字が苦手とわかった段階でタイピングの練習を始めました。ちょうどローマ字の学習が始まっていたところだったのでタイミングとしては良かったと思います。娘の小学校はGIGA端末を使う学校だったのでタイピングの練習を学校で行うこともありましたが、学校によってはほぼ使っていない場合もあるので、その場合は家庭で練習されると良いかと思います。なお、日本語と英語のタイピングは似て非なるものなので、どちらも練習が必要です。
6、小3から小5までの受験勉強
塾での学習がメインでした。
7、国語
記述が書けない、書きたくない状態でした。塾での漢字テストは読み問題は満点、書き問題は半分以上を取ることを目標にしました。書字の負担を考え、漢字学習は塾をメインにしたため学校の漢字学習はあまり重視していませんでした。知識問題は文法以外得意だったのでそこを伸ばすようにしました。小4の頃の読解問題は選択肢問題もほぼできなかったため自宅で出口汪の問題集を低学年用からコツコツ解いていきました。学年にこだわりがなかったので遡っての学習ができたことは助かりました。今でも国語は苦手ですが、塾の先生が面白い本を紹介してくれたため、文章に興味を持つきっかけになりました。また、塾が使っていた読解の素材文が面白かったことも影響が大きかったと思います。塾では素材文を音読した際に、内容に大きな間違いがなければミスを指摘しないようにしてもらいました。記述問題の宿題はタイピングで作成して提出していました。
8、算数
和差算のような「助詞が特に大事」な問題や、植木算のような「似たようなシチュエーションだけどちょっと違う」問題の理解が難しかったです。塾のプリント、問題集、参考書、「原田式プリント」などを使い、反復練習の日々が続きました。面積、体積の概念もなかなか理解できませんでした(この理由は後日わかることになるのですが、それは6年生編で)。テストでは大問1をボロボロに落とし、頑張った成果が表れず、このままだと自信をなくすだろうと心配していました。紙で書くと消しゴムで消すことが大変だったため、ほとんどの教材はPDF化してiPadで書けるようにしました。解く様子をその場で確認できたら楽につまずきをチェックできるだろうと考え、2台のiPadでファイルを共有してリアルタイムで教えるようにしました。共有はGoodnotesかアップル標準アプリであるPagesを使用していました。
9、 社会(地理・歴史)
地理は漢字の音があっていることが多かったため覚えられることが多かったですが、歴史の漢字は音と漢字が合わないことが多く苦戦しました(例:源頼朝)。iPadのアプリ「キャリーキャンパス」で一問一答ができるようにし、塾で言われていた「忙しくても毎日少しずつ勉強すること」、「覚えなければいけないページを覚える」だけを実践していました。画像、動画で内容をチェックする場合はNHK for schoolを使用しました。細かい漢字が多いため、塾での週テストは解答欄を拡大するなどして書字の負担を少なくするよう配慮しました。
10、理科
計算問題以外はほぼ塾だけで習得できていました。知識問題は社会で使っていたキャリーキャンパスで一問一答、日々の学習は塾のプリントを使用しました。苦手な計算問題は塾でもらった追加プリントや、算数で使っていた「原田式プリント」などを利用しました。画像、動画は社会と同じくNHK for schoolを使用し、参考書もチェックして覚えました。受験勉強をする上で1教科でも得意と思える科目があるのは頑張る力になり、保護者の負担も少し軽くなります。
11、さいごに
塾での学習はプリントがメインだったため、とても助かりました。ノートを準備する科目もありましたが、塾の先生から「聞いて覚えて帰れば大丈夫」と言われていたので社会と理科はいつも聞いて覚えていました。ただ算数はそういうわけにはいかず、板書を写さなければ解法がわからないのですが、ほとんど写せず自宅で解答をみて復習する日々でした。効率が非常に悪く、成績が低迷していった理由の一つだと考えています。塾での学習は大変厳しいものでしたが、講師の先生ができうる範囲で配慮をしてくださいました。本当にありがたかったです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
受験体験記はこのあと、以下の2つの記事を予定しています。
・学校探し編
・6年生から受検終了まで編
お楽しみに!
(にゃー)