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LDっ子の受験報告#9 うたたね家の中学受験 ~砂上の楼閣突貫工事親塾ヤマカケ受験①~  byうたたね

『LDっ子の受験報告』は、LDのある子ども達の受験体験談をご紹介するコーナーです。合理的配慮のコーナーで載せきれない、さまざまな方の受験までの道のりをご紹介していければと思っています。

今回は、うたたね家の中学受験についての報告です。

目次

砂上の楼閣突貫工事親塾ヤマカケ受験

ほんの数年前までLDという概念やディスレクシアというものを知らず、そのためそこへは行きつけず、五里霧中だったうたたね家にとって、偶然見つけたカラフルバードさんや、ほかのLD・ディスレクシアの方々の手記やツイートは、暗闇のなかの一筋の光でした。
いまだにもがいている最中ですが、微力ながら私も誰かのお役にたてることを祈って、我が家の中受について書きたいと思います。

我が家の中受はズバリ、「砂上の楼閣突貫工事親塾ヤマカケ受験」。

きらめく秀才でもなく、とくに秀でた教科があるわけでなく、LDで勉強に苦労している息子が、中受塾にもいかず(いけず)、小6からの突貫工事の親先生塾で志望校を絞り、親が過去問を研究したヤマカケ受験。
しかも夏旅行にもいっちゃって、本人のやる気が出て本腰いれたのは夏以降という超短期集中型受験です。 受験が終わってはや3年。記憶も薄れ、一年たつと大昔の受験界隈ではさらにもうひと昔まえ。 それも受験記なんですが、華々しさは全くない試行錯誤のドタバタ綱渡り記ですよ。



学校選び

「ぶっちゃけボリュゾ下、低偏差値なんて私立中学に行く意味あるの?」と思っている方に大きな声で「意味あるよ!首都圏の中受はいろいろ可能性があるよ、と伝えたいです。
中受って言葉だけで、イメージだけで『いやいや我が家なんて無理』と思わずに。ボリュゾ下にもいい学校はたくさんあるし、そりゃ偏差値の高い学校に越したことはないけど、LDっ子がボリュゾ下の私立中学にいくメリットは思った以上におおきいよ!うちは私立中学に行って良かったよ。」とお伝えし、みなさまの選択肢を増やすことができたらうれしいです。

そしてもし、すこしでも「じゃあ我が家も…でもどうやったの?」と思ってくださったLDっ子の親御さんは、どうぞ先を読み進めてください。我が家のめくるめく、めまいを起こしそうなくらいのドタバタ砂上の楼閣突貫工事受験記の扉が開きます。


受験時の読み書きレベル

でもその前に、まずは中受をした我が息子の読み書きがどのくらいのレベルなのかをお伝えしないといけませんね。 息子は、文字にまったく興味を持たずに未就学時を過ごしました。
小学校に入学後はひらがなの習得がなかなかできず、ひらがなを伴走して必死にやっているうちにカタカナが風のように過ぎ去り、どちらも習得しないまま夏休みに突入しました。

先日久しぶりに見返した小1の1学期の通知表には「ひらがな・カタカタは繰り返しやることが大切です。夏休み中に繰り返し書いて定着してください」との担任コメントが残っています。 漢字もなんとか書けますが、思い出しながら、時折間違えながらなので時間がかかります。

文章を読むこともできますが、相当な労力を使うのでがんばってなんとか。 読みながら理解する、考えるなどは難しく、時間がかかります。 書き写すことも苦手で、「聞く・話す」力と「読む・書く」の力との間に大きな開きがあります。

そして、最初に申しあげてしまうと我が家はいまだ、診断にいたっていません。
小2からスクールカウンセラーや区の教育相談に相談するも「もっとできない子はいます。様子をみましょう」と言われ、どちらも、ただただ毎月話をきいてくださるのみ。 担任の先生は「やる気がないだけ。学習意欲がなく反抗的」という考えで…。 「お母さまがどこかよい個人塾をお探しになって。」といわれ続け、診断や療育につながるという選択肢をしらぬまま、その場その場で息子の困りごとに親が伴走し、助けてくれそうな塾や学校外の先生、習い事をさがして対応してきました。


LDについて

LDというものがある、ということは知っていましたが、LDの具体的なことは何も知らず。
従ってわが子を見て伴走していてもLDの概念までいきつかず。

そして親である私たちもまた、「わが子はすこし幼いし、のんびり屋だし。いつかスイッチ入るから!スイッチはいるまではのびのびで。本人が好きなことをトコトン、親も便乗して家族で楽しんで伸ばしていけば大丈夫。勉強できなくても学ぶことが楽しい。知ることが楽しい。があれば人生楽しい。好きなことを家族みんなで楽しもう!」というお気楽さで、こどもの好きな事を尊重しつつ家族で楽しんでいました。

「スイッチが入るまで」という超おめでたい楽観的思考お気楽ワード信仰の為、勉強はほどほどで、宿題なども「お母さんが読むから聞いて音読の宿題は終わりにしよう!」とか、漢字の直しも母が鉛筆で薄く書いたうえに書かせて終わり。など本当に適当でした。

宿題がこれならば教室でも推して知るべしなのに…もっと早く気が付いていればと、今では振り返って反省しきりです。 ただ、こどもに伴走し、起こっている事象に行き当たりばったりに対応しつつ、こどもの好きな科学分野を家族でたのしんで探求しつつも、でもなんかおかしい。という違和感はずっとありました。

そして、はじめて強い違和感と危機感をもつきっかけになったのが英語でした。
・ローマ字がおぼつかない。
・本格的に小学校英語が入ってきて、スピーキングは楽しくできているけど、書いてあるスペルが読めない。
・アルファベットを何度練習しても定着しない。
・bとd、iとjの区別がつかない。

どうしてなのか、親が理解できないくらいの間違え方。定着のできなさ。 伴走しても寄り添ってもうまくいかず。
なんだこれは?というザワザワ感。 その後、小5の終わりに偶然ご縁のあった自費療育の先生に勧められて、自費で小児精神科を受診した結果、凸凹があることがわかりました。
わかりましたが、その場で本人が「困ってない。」といったため、支援はいらないという医師の診断に。親は、当時はLDとは知らないけど、今思うとLDの困りごとも訴えていたのに、医師はそこには触れず。検査などの話もされず、で、終了。これが我が息子の中受前の経緯です。

さて、話しを中受にもどします。 青天の霹靂、「中学受験」というパワーワードが突如うたたね家に降臨します。

中学受験を決めたわけ

小6に進級したころ、自費療育の先生から中受という選択肢もあることを提案されました。
また、それを相談したスクールカウンセラーからも中受を勧められます。
突然ふってわいた「中学受験」に親は戸惑いました。両親とも中受経験はなく、なにもわからない。

しかし、調べていくうちに心は中受に傾いていきます。 

あれ?中受いいかも

療育につながれてもいないこともあって先が見えないなか、とにかく息子をみていて英語がうまくいく予感がまったくしませんでした。 進学予定の公立校は、評判はとても良いけれど、地域が特殊でバイリンガルの子たちが多いこと。

中受をしないと早くから選択して高受に狙いをさだめ、英語を小学時代からやって英検上位級をとって…という層がわりといる中学ということ。 中学から英語をスタートする普通の子は英語で頑張っても上位にいくことが難しいと聞いたこと…などを聞き、息子は、勉強は嫌いではなく理科系は大好きで特に地球科学が好きで知識欲もあったけど、英語を入れた時の偏差値を鑑みると、この環境の公立中に進学して、その先大学受験を視野にいれるような高校に進学出来きるか…?正直、難しいと思いました。

また、私立中は入口が低くても最低限大学進学が当たり前、というスタンスで尻を叩いてくださるところにも魅力を感じました。
高校受験を回避しつつ、子供の性格上長いモラトリアムというか、長いスパンで大学受験に向かわせたかった。発達の凸凹があるので、定型児より2〜3年遅れでようやく追いつく感じだとおもっていて、その期間が欲しかったのもあります。

しかも進学予定の公立校もいい学校なので、中受がだめだったら公立に行くことができる、とにかくチャンスを一回行使してみよう!という感じ。 さらに邪な本音を言えば、書字識字が苦手な状態で英語もできないなか自動的に高校入学でき、あわよくば高校卒業資格が手に入るならいいかも、と思うところもありました。  

いざ中受スタート!

我が家の中受はまず、親が先行して動きました。
時間がないのでやめるのはいつでもできる。こどもが嫌がったらやめよう。こどもがやる気にならないならやめよう。と、とりあえず親は準備のためにひとまず走り始める。という感じ。

計画を立てて走りはじめたわけでなく、考えながら走るスタイル。まさに自転車操業。
並行して民間の塾に問い合わせて、入れてくれるところを探す。

ただし、さしてきらめく頭脳でもなかった為と6年4月以降ということ、転塾ではなく新規ということで、案の定、近隣の大手には断られ続けます。 でも、小6だったので何もしないで塾を探す、という悠長なことはできず、塾が決まるまでと、塾を探しつつ並行して親が教えはじめたのが本当のところ。最初から親だけで教えようと思ったわけではありません。

そうこうしているうちに、本人が理科好きで、理科部や理科の実験などの授業が私立の方が手厚く面白いと他の子から聞いてきて、がぜんやる気になった。
これが走り始めて随分たった夏頃の話。我が家の本格的な受験はそこから始まったように思います。 

(次回、本格始動・親先生塾勉強法編へつづく)

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