LDのことを調べ始めると、子どもに様々な検査を受けてもらいたくなると思います。
この記事では、検査を受ける前と受けた後にどうしているか?ということをテーマにご紹介したいと思います。(M)
検査を受ける前と結果を聞く前に保護者が対応しておいたほうがいいのではないかということ、また結果を聞いた後にしておいたほうがいのではないかということがいくつかあります。
それは、子どもへの説明、検査についての理解(保護者)、結果を聞く際に質問しておきたいことの整理、そして、たまっていく結果の保存と管理方法についてです。
今回もあくまで「我が家の場合」の話でしかないので、これが正解というものでは全くありません。参考例の一つとしてお読みください。
検査を受ける前
子どもへの説明
検査を受けることで本人の特性などが分かってくることは多く、検査によってはじめて対応すべき方向性が見えてくることが多いため、検査をうけるということはとても重要なステップとなります。(LDの検査についてはこちら)
しかし、検査を受ける子供自身への負荷が高いのも確かなので、むやみやたらに子供の様子や希望を全く無視して検査を受けさせることは危険なことでしょう。
そのため、子どもにどう説明をして検査の場所まで連れてきて、検査に取り組んでもらえるのか、そこがまずはハードルになる方も多いでしょう。子ども本人はそれまで生きてきた中で、自分が他の人と違った状態であるなど想像していない場合もあり、困り感を感じてすらいない場合も多く、検査の必要性を理解できるとも限らないでしょう。
(また、決して障害のレッテルを貼るためのものでもありません)
私の場合、事前に検査先の関係者の方にどういった言い回しがいいかなどを聞いていた時期もありました。
私の場合は、まず、本人が感じているはずの困り感「漢字が覚えられない」を本人と共有して、そのために病院や検査機関に行っていることを説明していました。
また、検査前については、その検査内容によっては検査とは言わずに、クイズやテストなどと言い換えて説明していました。(この言葉の言い回しあたりは、子供の好みや年齢によると思います…)
そして、検査の目的についても説明をしたり、励ましたり、ご褒美を一緒に事前に考えたりしました。
その色々はこんな感じ
得意なことと苦手なことが分かると、あなたにあった学び方が分かるはずだから行くんだよ。
苦手なこともするかもしれないけど、落ち込まなくていいよ。いやならやめてもいいからその時は先生(検査者)に伝えてね。
終わったら、おいしいものを食べに行こう!(我が家は物より消えるものにしていました。)
うちの場合、あまり騙せないタイプだったので、事前説明は大事なことでした。
おかげでか分かりませんが、わりと真面目にどれも集中力を保って取り組んでいたようです。
ちなみに、検査の日はコンディションを考えて学校がない日や、お休みをとって受けに行っていました。
検査結果を聞く前に
検査についての理解(保護者)
この順番、検査を受ける前の方がいいかと思われるかもしれませんが、あえて後に書いておきます。
何を検査するかというのは、本当は保護者はそこまで理解しなくていいと言われるかもしれませんが、検査結果を聞く前にやはりきちんとその目的とざっくりした内容を理解しておいたほうが検査結果をその後の日々の学びに活用する際に役立つと感じているので理解しておくことをお勧めしておきます。
ただ、注意点としては、検査内容を知ってしまうと子供に無意識にも検査対策のようなことをさせてしまったり、圧をかける言動をしてしまう可能性もあるため、私はあえて検査内容を知らないようにしています。
ですので、ここに「検査についての理解」と書いてはいますが、それは検査内容というよりも、目的がスクリーニングであるとか、検査結果で使われる項目や尺度などの言葉の理解ということを指しています。
結果を聞く際に質問しておきたいことの整理
検査結果を聞きに行く前に、検査を受けた目的を振り返りながら、何を報告者から聞きたいかを事前に整理しておくと良いかと思います。それぞれの検査のポイントをある程度調べておくことも大切でしょう。
本人の弱い部分だけでなく、強みの部分もしっかり聞き出してこられるような質問も準備しておくとよいかもしれません。いずれにせよ、本人の学習の助けになるような要素を知ることができるといいですよね。
子どもにとって学習の際に役立つ得意なことや、不得意なこと、エラーの出方のキーワードを書き出すなどしてみるといいかもしれません。予想と全然ちがう結果が出る場合もありますが、それはそれでさらに本人にあった支援方法に取り組めるきっかけになるでしょう。
学習に生かせるいいところは? 耳から?目から?形のとらえ方?思い出し方?
書字の不安定さはどこから? 読み?不器用さ?不注意?こだわり?音韻?ワーキングメモリ?見え方?
昨今は、APDCAで支援を回していくと言いますが、一番頭のA(アセスメント)をしっかりすることが重要ですよね。そのための検査のはずなので、漏らさず聞いてきたいところです。
質問内容によっては所見に書いていなかったことまで報告していたけることもあり、その後のヒントを得られることもありました。
ご参考に、WISCをなぜ受けるのかの理解を深め、WISCをどう活用するかについてはこういう本もあります。
KABC-Ⅱの場合だとこういう本もあります。
2024年8月、こちらの新しい本も出ました。検査活用サポートシートもついてきて、こちらもおすすめです。
他にも、K-ABCの継次処理・同時処理などについての本を探してみるのもおすすめです。
K-ABCについては、この学会のサイトを読むだけでもほどよく勉強になります。→K-ABCアセスメント学会
あとは、検査によっては、SD値のプラスとマイナスが逆の意味の場合もあるので、その検査のSD値の意味がどっちだったか、結果を聞く前に確認しておくこともいいかもしれません。とっさにその結果が悪いのかいいのかよく分からなくなってしまう可能性もあるんですよね。
検査を受けた後
結果を聞くとき
検査を受けた後、結果を聞きに行くと、大抵は紙の資料で結果と所見が書かれた報告書などをいただけることが多いと思います。(紙でもらえない場合は、後日でもいいのでいただけるようにお願いしたいですね)
私の場合、なるべくクリーンな状態のものを保存しておきたいタイプなので、手書きの頃は、半透明の付箋を持参して貼りながら書き込んでいました。今ならタブレットを持参していくので、その場でスキャンして書き込んでいくこともあります。
または、有料アプリになりますが、自由に書き込んだあとでもスキャンをするときに手描き文字が消えるアプリを使ってクリーンなデータを保存することもあります。
基本的には、私がOneNoteが好きなのもあるので、スキャンして書き込むのも、質問リストもOneNoteの中で完結させて使っています。GoodNotesでもiPadの基本アプリであるメモでもホワイトボードでもなんでもメモがしやすければいいと思います。
帰宅してからやること~スキャン~
結果をもらってきたら、頂いた書類をスキャンしてPDFで保存しておきます。
メモをしていた付箋があれば、いったんコピーをしてからから付箋をはずしてスキャンします。
家にスキャナーが無い場合は、タブレットやスマホのアプリを使ってスキャンしてPDFに保存するでも良いでしょう。
スキャンアプリは色々でていますので、アプリストアなどで探してご使用ください。
うちはoffice lensも使うこともあります。
それでも微妙なら、コンビニのスキャナを使ってもいいでしょう。
我が家が使っているスキャナはこちら
①ハンディ―タイプのスキャナ。コンパクトで持ち運びも簡単で場所もとらず気に入っています。
②A3印刷もよく使うので、こちらも我が家にあります。
とにかく大きいので置く場所がある方向けです。値段が安いわりに使い勝手がとてもよく気に入ってます。スキャンしてクラウドに直接どんどん取り込める点もおすすめです。
ファイリングする
基本的すぎることを書くのもなんですが、ファイリング、大事ですね。
特に検査が多いLDちゃんには、ファイリングの積み重ねが大切な気がしますので、一応書いておきます。
ファイリングもアナログとデジタルと両方とで私はしていて、どちらもとてもよく使っています。
アナログのファイル
アナログのファイリング方法も色々試しましたが、私はいまこの方法に落ち着いています。
レールタイプのファイルです。
これだと、様々な検査結果をめくりやすく読みやすいと感じています。また、追加も簡単で、穴をあけずに済む点も気に入っています。
このファイルに挟むのは原本ではなく、コピーしたものにしています。また、提出が必要な先にも別にコピーで作成しこの形で持参することもあります。また、検査結果だけでなく、これまでの読み書きの特徴などをスライドにまとめた資料や、私がまとめた本人の説明資料、これまで受けてきた合理的配慮の一覧なども一緒にとじこんでいます。
デジタルのファイル
スキャンした検査結果などのファイルは、検査名と検査年月日をファイル名にして保存しています。
そして、それらのファイルを一つのフォルダにまとめて保存し、クラウドで共有できるようにしています。
私の場合はDropBoxに保存して、必要が出た時にすぐにフォルダのリンクURLを通して渡せるようにしています。一気に渡せるためとても便利です。
日常のなかでも、スマホからでもタブレットからでも見たい時に検査結果を読み返せる点も気に入っています。
基本的には、先にご紹介したアナログのファイリングと同じ内容にしています。
DropBoxでなくても、OneDriveやGoogleDriveなどでも可能です。(いずれも無料で利用可能)
ただし、大切な個人情報ですので、パスワードでの管理をするなど注意は必要です。
さまざまなクラウドストレージサービス
こんなに長々と書いてしまいましたが
LD児の子育てってやはり手間がかかりますね…
保護者ががんばらなくても、支援につながれて、社会で楽しく生活していける世の中に早くなってもらいたいものだと思います。
最後に、
毎度書いておりますが、これも「我が家の場合」というだけであり、あくまで参考のつもりでご活用いただけたら幸いです。これができなくても、大丈夫ですよ!
(私の場合、知れば知るほど子供に寛容に対峙できるようになれる気がするので、調べてまとめてしまいたくなるだけなのです…。)(M)