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ひらがなからつまづいたディスグラフィア青年の今 ②~特性とその対応~

ルピナスさん

私には都立高校3年と私立高校1年の息子が2人おります。
今回は、高校3年生の長男の特性と対処法をご紹介します。

ルピナスさんのご長男さんがこれまで歩んできた道のりは、下記のカラフルブログに掲載されています。ぜひお読みください!

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① 読みの困難さ

文字の見え方が違う
随時ではないが文字が動く、文字に影がつく。漢字の部首が入れ替わる。ゴシックの小さい字が四角い塊にしか見えない。明朝体の三角部分が目に突き刺さる。時として部首が動き出して見えるなど。
《間欠性外斜視・アーレンシンドロームの影響》

初見の文章は読めない
体験したことや授業での話をもとに漢字の拾い読みをしながら読んでいる。未体験、初めて知る内容は読めない。

対応策
・一度プリントをひっくり返してみないようにして気持ちを落ち着かせる。長時間読む行為をしない。
(時間延長は極度の疲労感によりマイナスになることもある)
・拡大コピーやフォントの変換をお願いする。(UDデジタルフォントなど)
・漢字の拾い読みで乗り切る。
・パソコンによる読み上げを使う。その場でプリントを読む際には代読をお願いすることもある。
・隣の行やふりがなが時として混ざって見えることがあるのでリーディングシートで隠す。

② 音韻処理の困難さ

聞き間違いをする
「巨峰」を「ほきょう」と言う。「潜水艦」を「すいせんかん」と言うなど。

対応策(作文・レポート)
・音声教材やオーディブル、授業を通して、正確な音を関連知識や流れの中で理解していく。

③ 光への過敏さ

特定の光で文字が見えづらい
蛍光灯の光と暖色系の光が混ざり合うと文字が見えづらい。《アーレンシンドロームのため》
藁半紙が見えづらい。

対応策
・パソコン画面、部屋の暗さなどを調節する。
・紙のプリントを見るときにブルーのシートを当てる。

テストにも持ち込むブルーのシート

④ 書きの困難さ

文字のバランスがとりにくい
大きなマスであっても文字のバランスがとれない。読み返せないノートになる。

漢字の形が覚えにくい
知識としてインプットはできてもアウトプットで出てこない。
《ワーキングメモリーも言語も正常範囲の検査結果であるが処理速度が低いこと、形の記憶がしづらい》 

英単語が書けない
漢字と同じ理由で、英単語を書くことができない。

対応策(文字のバランス)
・その場で書かなければいけない申請書類などは、代筆を自ら頼むこともある。
・パソコンで打って提出する。

対応策(漢字)
・小学生の頃から、パソコンで文章の中で的確なものを選びとることを続けてきた。
 漢字の読みのテストでは答えられるようになった。
 高校入試も高校に入ってからの漢字テストも選択肢問題になっている。(高校の漢字テストは全生徒が選択式)
「間違えたから何度も書いてこい」は腱鞘炎になるだけで、記憶には残らず自己肯定感の低下につながった。

対応策(作文・レポート)
・考える→イメージする→口に出して自分の考えを伝える→書き取る→文に打ち込む→漢字に直す→接続詞の直しをする方法で書ける。
中学生の時の科学センターを通してレポートを書けるようになった。高校でも期日内にレポートは提出できている。

対応策(英単語)
・ジョリーフォニックスを学び、音の粒の把握ができるようにした。
 音にできることでスペルが書けるものがある。
・リスニングはでき、文法も理解している。ただ、タイピングする段階で分からなくなることも。

⑤ その他の困難さ

体幹が弱い 
常に頭の中が揺れている状態である。そのため、感覚刺激を自らして覚醒させようと努力することもある。
歩く音が強い。ものとぶつかりやすい《感覚統合の弱さ》

不器用  
作図や紙を折る、ハサミなどが苦手。

対応策
・使いやすい道具を利用している。大変不器用であるが自分の特性を理解して工夫して習得できるものが増えている。
・剣道を通して見て覚えたものをまねる形が覚えやすいことが分かった(剣道初段取得時)。
・手順を言葉に落とし込んでからやる。声に出して確認しながら作業をする、ルーティンになるまで繰り返し練習することで溶接技術を身に着けた。(高校生の中でも高い技術者として選ばれた)
 《協調性運動障害 作業療法士の診断あり》 

声に出して確認してしまう(声が大きい)
授業に関係がないことを喋ることはないが、つい関連知識を呟いていることがある。
授業にのめり込んで聞いてしまうことも原因ではあるが、音韻処理に負荷がかかるため、テスト時には音にすることで内容を確認して解いている。

対応策
・テストでは別室で受けている。(気がつかないで呟いていることもあるので)
・質問や意見を呼びかけたときに必ず答えるので、授業進行にうまく活用して、発言の場を持たせてくださる先生もいた。
研究では、CADでの設計担当、パワポを使った発表を担当している。

不安感がある
料理やキャンプなどでの共同作業で何をしたらいいのか分からず、固まることがある。
《二次障害による不安感。自閉症スペクトラムのため》

対応策
・見通しを持たせる。登山ならルートの確認、ポイントの景色、自分の担当することを明確にする。
・あいまいな支持をしない。(「火を見ておいて」→「ふきこぼれそうになったら火を止める」など)
八ヶ岳や上高地縦走登山ができるまでになった。

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