8月30日、一般社団法人カラフルバードの川崎在住メンバーが開催した、保護者のお話会「ぴーちくぱーちく会」に参加してきました。
会場は、川崎市のほぼ真ん中にある武蔵溝ノ口駅近くの高津市民館。

カラフルバードの運営メンバーが約5人、参加者が約10人。川崎だけでなく横浜からの参加もあり、合わせて15人ほどが集まりました。
カラフルバード「ぴーちくぱーちく会」とは
「ぴーちくぱーちく会」は、読み書きが苦手なお子さんの悩みについて、保護者同士で情報交換をするお話会です。
当初は13時30分から15時30分までの予定でしたが、話は尽きません。

結局、会場が閉まる17時近くまで話が続き、「また開催してほしい!」という声も上がる、熱量の高い会となりました。
参加者のお子さんの学齢は、主に小学生から中学生。
いくつかのグループに分かれて、次のようなテーマについて話しました。
- 子どもに合った教材やアプリ
- 学校や高校入試での合理的配慮
- 療育、放課後等デイサービス、塾などの学習支援
- 発達検査・読み書き検査や相談先
- 中学受験・高校受験
- 不登校の子どもの学びとICTの活用
- 通常級、支援級、通級での学習支援
正解を教えてもらう会というより、それぞれの経験を持ち寄り、「次にどこへ相談すればよいか」を見つける会だったように思います。
当日出た情報を、確認できたリンクとともにまとめます。
かなり長いので、必要なところだけ拾い読みしていただければと思います。
神奈川県の高校入試で受けられる合理的配慮
なかでも質問が多かったのが、高校入試での合理的配慮です。
神奈川県の公立高校入試では、障害等のある人は、中学校を通じて事前に受検方法について申請できます。
神奈川県が例示している配慮には、次のようなものがあります。
- 学力検査問題用紙等の拡大
- 検査時間の延長
- 別室受検
- 座席の配慮
ただし、希望すれば一律に同じ配慮が受けられるわけではありません。申請できる内容や条件があり、中学校で普段受けている配慮が基本とされています。
必要になりそうな場合は、中学3年生の冬を待たず、早めに中学校へ相談しておくことが大切です。
申請手続きが始まる前から、学校や教育委員会、受検校との調整が行われる場合もあるという経験談も出ました。
神奈川県教育委員会が公開する合理的配慮の具体例
全公立展の教育委員会相談コーナーで、合理的配慮の実例について質問したものの、個人情報に関わるため紹介できないと言われた、という話も出ました。
たしかに、個別の事例をそのまま公開することはできません。
しかし、「どのような配慮が考えられるのか」という具体例がなければ、保護者も子どもも、何を相談したらよいのか分かりません。
神奈川県教育委員会のウェブサイトでは、現在「学校生活における合理的配慮の具体例」が公開されています。
当日は、参加者が神奈川県教育委員会まで出向いて入手した資料も見せていただきました。
問題用紙を大きく拡大する、漢字にルビを振るなど、実際の配慮がイメージしやすい資料でした。
*配慮入試の問題は県庁の中にある情報センターで閲覧しコピー可能だそうです。



神奈川県の高校入試でマークシートへの記入が難しい場合
神奈川県の公立高校入試では、マークシート方式が採用されています。
文字をたくさん書く負担は少なくなる一方で、マークする位置を間違える、解答欄がずれる、細かい欄を塗ることが難しいなど、別の困難が生じる子どももいます。
マークシートへの記入そのものに大きな困難がある場合も、まずは中学校を通して相談してみることが大切です。
どのような対応が可能かは個別に判断されますが、「マークシートだから仕方がない」と最初から諦める必要はありません。
模試でも別室受験などの合理的配慮を受けられる場合がある
高校入試本番だけでなく、模試でも別室受験などの配慮を受けられる場合がある、という情報も共有されました。
また、マークシートへの記入やマークミスに大きな困難がある場合も、受験方法について相談できる可能性があります。
対応は、模試の実施団体や本人の状況によって異なりますので、主催者へ問い合わせてみることをおすすめします。
模試で必要な配慮を経験しておくことは、入試本番でどのような配慮が必要なのかを考える材料にもなりそうです。
*東京都や埼玉県の模試では別室で時間延長や読み上げ補助者を入れた配慮を受けることができます。
高校入試の別室受検を本人が嫌がる場合
別室受検について、「自分だけみんなと違う」「ほかの子に知られたくない」と心配するお子さんもいます。
一方、入試会場では、誰がどの教室で受検しているのか、ほかの受検生には分かりにくかったという経験談も共有されました。
放課後等デイサービスでは配慮を受けられていても、学校では「みんなと違うことをしたくない」と本人が配慮を望まない場合もあります。
受けられる配慮を増やすだけでなく、本人がどう感じているのかも置き去りにしないことが大切です。
高校入試の合理的配慮は志望校にも早めに確認する
高校の説明会には個別相談の時間が設けられていることがあります。
ただ、説明会まで待たずに、気になることを高校へ電話などで問い合わせている保護者も意外と多い、という話が出ました。
合理的配慮の可否だけでなく、
- ICT機器を使用できるか
- 読み上げへの対応は可能か
- 別室受検ができるか
- 入学後にも同様の配慮を受けられるか
など、本人にとって学校選びに関わることは、早めに確認してよいのではないでしょうか。
受検時に配慮を受けられても、入学後の授業や定期テストでは対応が異なる可能性もあります。受検時と入学後の両方について確認しておくことが大切です。
合理的配慮の申請に検査や診断は必要?
「入試で配慮を受ける前に、あらためて検査を受けたほうがよいのか」という質問も出ました。
検査や診断が必須とは限らず、必要な資料は申請先や希望する配慮によって異なります。
まず学校や受検先へ確認し、そのうえで、本人の困難を説明するために何が必要かを考えるのがよさそうです。
検査を受けること自体が目的にならないように、
- 何に困っているのか
- 検査によって何を知りたいのか
- 結果をどのような支援につなげたいのか
を整理しておくことも大切です。
WISCだけでは読み書きの困難は分からない
WISCは、子どもの認知特性を幅広く把握するための検査です。しかし、読み書きの力そのものを直接測る検査ではありません。
読み書きの困難を詳しく知りたい場合には、目的に合った検査を検討する必要があります。
会の中では、「STRAW-R(改訂版 標準読み書きスクリーニング検査)」の名前が挙がりました。
STRAW-Rでは、ひらがな、カタカナ、漢字の読み書きや、文章を読む速さなどを調べることができます。
速読課題は、入試で試験時間の延長を希望するときの客観的な資料として使われる場合もあります。
WISC-VとWAIS-IVの対象年齢
WISC-Vの対象年齢は、5歳0か月から16歳11か月です。成人用のWAIS-IVは、16歳0か月から90歳11か月が対象です。
WISCの対象年齢が終わる前に、経年変化を見るため検査を受けているという体験談もありました。
ただし、「2年おきに受けたほうがよい」など、一律に推奨されるものではありません。
また、大学共通テストでは診断書が必要になるため、WISCが受けられるぎりぎりの年齢で受けることを念頭に逆算して間隔に問題が起きないように気を付けているという話もでました。
本人の負担もあるため、検査の必要性や実施時期については、医師や心理職などの専門家へ相談してください。

LDのある子どもに役立つ教科書・ICT教材
読みの負担を減らす教材として、マルチメディアDAISY教科書と学習者用デジタル教科書についても情報交換がありました。
DAISY教科書とデジタル教科書の違い
DAISY教科書は、通常の教科書を読むことが困難な児童生徒が利用できる教材です。
医学的診断は必須ではなく、保護者、本人、担任、通級指導担当者などからも申請できます。
一方、学習者用デジタル教科書は、紙の教科書と同じ内容をデジタル化したものです。
「教科書のデータがあること」と「本文を読み上げる音声が付いていること」は必ずしも同じではありません。
教科、発行者、商品によって、利用できる機能が異なるためどんな機能がついているのかは要確認です。
光村図書の国語デジタル教科書は個人購入できる
光村図書の小・中学校向け「国語 学習者用デジタル教科書+教材」は、個人購入用フォームから申し込むことができます。
次のような機能があります。
- 文章を音で聞く
- 漢字にふりがなを付ける
- 文字の大きさを変える
- 行間を広げる
- 背景色を変える
価格は、小学校用が1学年825円、中学校用が1学年880円です。
1ユーザーにつき1ライセンスが必要で、使用期限は年度末まで。iPhoneやAndroidなどのスマートフォンには対応していません。
興味深いことに、購入方法を知ったきっかけの選択肢には「カラフルバード様のご紹介」も入っています。ぜひチェックしてみてください。
不登校でもICTを使った学習経験を積んでおく
不登校の場合、学校で合理的配慮を受けた実績が少なく、入試の申請に不安を感じることがあります。
その場合でも、塾や家庭、放課後等デイサービスなどで、
- iPadとタッチペンを使う
- パソコンで文字を入力する
- 読み上げ機能を使う
- デジタル教材で学習する
といった経験を重ねておくことは、本人の学びを支えるだけでなく、「どの方法なら力を発揮できるか」を考える材料になります。
通常級・支援級・通級で合理的配慮を引き継ぐには
支援級に在籍すれば、必ず本人に合った教科学習が受けられるとは限りません。
特に中学校では、支援級で過ごす時間や授業内容によって、教科学習が十分に受けられず、学習の遅れにつながることを心配する声もありました。
一方、通常級へ移った途端、それまで受けていた合理的配慮がすべてなくなると説明されたものの、確認すると誤りだったという体験談も出ました。
在籍する学級の種類と、合理的配慮の必要性は別の話ということを学校が理解していない場合もあるので注意が必要です。
支援級では教科学習の内容と時間割を確認する
進級や進学、学級変更の際には、
- どの授業をどこで受けるのか
- 教科学習の時間はどのくらいあるのか
- これまでの配慮は引き継がれるのか
- テストではどのように対応されるのか
など、具体的に確認する必要があります。
学級の名称だけでなく、実際の時間割と支援内容を見ることが大切です。
通級で抜けた授業をどう補うか
通級が自校にない場合、在籍校の授業を抜けて別の学校へ通うことがあります。
抜けた授業の補填がないため、学習の遅れや評価を心配する声もありました。
通級を利用する際には、通級の時間だけでなく、在籍校で受けられなかった授業をどのように補うのかも確認しておきたいところです。
川崎市で子どもの発達や学習について相談できる窓口
学校との話し合いが進まないとき、学校の外に相談できる場所を知っているだけでも違います。
川崎市子ども発達・相談センター「きっずサポート」
発達に心配のある18歳未満の子どもと保護者から相談を受け、必要な支援や福祉サービスを一緒に考える機関です。
保護者の同意を得たうえで、幼稚園、保育所、学校などとの連携も行います。
各区に窓口があります。
川崎市の地域療育センター・発達相談支援センター
川崎市には、地域ごとの療育センターと、学齢期以降の発達障害やその疑いのある人を対象とした発達相談支援センターがあります。
対象年齢や相談内容、すでに利用している機関によって窓口が異なります。
神奈川県立特別支援学校の教育相談
県立特別支援学校では、地域の保護者や教員から教育相談を受け付けている場合があります。
たとえば県立中原支援学校では、次のような相談に対応しています。
- 学習
- 行動
- 身体
- コミュニケーション
- 教材や教具
- 療育や就学
- 進路や就労
内容に応じて、教員や自立活動教諭(理学療法士・作業療法士)が対応すると案内されています。
本来、学校の教員から巡回相談などを申し込む場合でも、まず保護者から支援学校へ相談し、どのように学校へつなげればよいか尋ねることもできます。
LD・発達障害の検査や学習支援で名前が挙がった機関
以下は、当日の情報交換で名前が挙がった機関やサービスです。
カラフルバードが利用や効果を推奨・保証するものではありません。
対象年齢、支援内容、料金、空き状況、検査内容、必要書類などは変更される可能性があります。利用を検討する場合は、必ず公式サイトや各機関の窓口へご確認ください。
特定非営利活動法人 発達サポートネット バオバブの樹
茅ヶ崎を拠点に、発達性ディスレクシアや吃音などに関する活動を行う団体です。
保護者の交流、子どものグループワーク、言語相談事業「すーふ」などを行っています。
社会福祉法人 青い鳥・小児療育相談センター
横浜市にあり、子どもから思春期・青年期までの発達に関する診療相談を行っています。
心理検査、カウンセリング、学校や福祉機関との連携などについて案内されています。
さくらキッズくりにっく「読み書きサポートラボ」
東京都世田谷区桜新町にある小児科です。
読み書きに関する検査や支援を行い、必要に応じて診断書や診療情報提供書の作成にも対応しています。
対象学年や受診条件、費用が定められているため、公式サイトをご確認ください。
DIVERSE(ダイバース)
ことばの発達支援・学習支援を行う支援室です。
来室のほか、訪問やオンラインなど、複数の相談・支援方法が案内されています。
かわばた眼科・視覚発達支援センター
新浦安にある、見え方や視覚認知についての検査・相談先として名前が挙がりました。
通常の視力検査だけではなく、読み書きや学習にも関係する「見る力」について検査を受けた経験や、両眼視を助ける眼鏡を作った経験などが共有されました。
眼科と視覚発達支援センターは別の機関です。検査内容、予約方法、費用、対象年齢などは、それぞれへご確認ください。
もじこ塾
東京・南新宿にある、大学受験生・中高生を対象としたディスレクシア専門塾です。
英語のフォニックス指導、大学入試対策、総合型選抜対策などを行っています。合理的配慮を受けての受験に関する情報も発信しています。
りえ先生/発達障害(LD)の子どもたちのための塾の先生
香川県高松市で、学習障害のある子どもを対象とした個別指導教室を運営する言語聴覚士です。
小学校以降の学習支援や、LDのある子どもを支援できる人材の育成にも取り組んでいます。
英語のオンライン指導先として名前が挙がりましたが、現在の受付状況や指導形態については、ご本人へ直接ご確認ください。
りえ先生/英語学習サポート教室Ridiam
高額な発達支援サービスを選ぶときの注意点
当日は、高額な費用が必要な支援や、「脳にアプローチすれば改善できる」といった説明を受けた経験についても話が出ました。
子どもの困りごとを少しでも改善したいと思うと、保護者は魅力的な言葉にひかれます。
しかし、
- 必ず改善すると断定する
- 高額な契約を急がせる
- 一般的な支援や医療を否定する
- 効果の根拠を確認できない
といったサービスについては、契約前に立ち止まることも大切です。
学校、公的な相談機関、医療機関など、複数の専門家へ相談してから判断したほうがよいでしょう。
川崎で合理的配慮について話せる保護者のお話会
合理的配慮も、教材も、相談先も、子どもによって必要なものは違います。

制度を知るだけでは解決せず、学校や支援者へどのように伝えたらよいのか迷うこともあります。
だからこそ、同じ地域で子育てをする人同士が、うまくいったことだけでなく、困ったことや迷っていることも話せる場所には意味があるのだと思います。

私自身、子どもが小さかった頃に知りたかった情報がたくさんありました。同時に、以前とは制度や選択肢が変わっていることも実感しました。
経験のある人が一方的に教えるのではなく、新しい情報とこれまでの経験を持ち寄れることが、この会のよさなのかもしれません。
次回の開催を希望する声も多く聞かれました。
川崎でまた「ぴーちくぱーちく会」が開催されるときには、カラフルバードのイベントページでお知らせがあります。
興味のある方は、ぜひチェックしてみてください。(ぴーたん)
※この記事は、保護者のお話会で参加者から共有された体験談や情報をもとに作成しています。記載した内容はカラフルバードの公式見解ではなく、特定の機関やサービスの利用・効果を推奨または保証するものでもありません。制度や対応は、地域、学校、年度、本人の状況によって異なります。最新の情報は各機関の公式サイトや窓口へご確認ください。
