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「特別支援教室」と「ことばの教室」双子の通級体験記 by U

カラフルブログはカラフルバードメンバーや知人によるブログです。
地域に広がったカラフルバードメンバーそれぞれに起こったLDにまつわるあれこれを紹介していきます。
LDの対応は地域ごとに、対応する担当の方次第、というところが多く、カラフルバードの記事がストレートに参考にならないこともあるのも実情です。
そういうこともあり、実際に各地の状況をご紹介できる機会にこのブログシリーズがお役に立てればと思います。

目次

東京都の23区外の市(多摩地区)在住のUです。双子の中学生の娘がいます。「同じLDでも1人1人違う」と言われますが、まさにその通り。一卵性の双子でも、症状の出方やあった方法が結構違います。

不登校だと通級は使えません」「通級では、学習の補充はしません」と言われたことがある方もいるかと思いますが、「完全不登校でも通級だけ行けました!」「自立活動としての学習(国語、算数)指導を受けられました!」そんな、わが家の通級体験記です。

読み書き障害がメインの次女は「ことばの教室」(週1回1時間)、読み書き障害以上に算数障害やDCD発達性協調運動障害による困り感がある長女は「特別支援教室」(週1回 グループ1時間、個別1時間)を利用しました。
ことばの教室については、別記事で書いていますので、今回は特別支援教室を中心に紹介します。


特別支援教室および通級指導教室等、特別支援教育に関しては、自治体により運用状況が大きく異なります。ここでは、東京都施策の「特別支援教室」を元に紹介します。

特別支援教室とは?

特別支援教室とは

指導の対象など
東京都のガイドラインによると、対象となるのは『通常の学級に在籍する知的障害のない発達障害または情緒障害であり、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする程度の児童』。

詳しくは東京都のホームページでご確認ください。

東京都の「特別支援教室」に関する解説記事

幼児期
文字に興味を持たなかった

 ふたりは、おしゃべり上手だけど、「ヘリコッパ(ヘリコプター)」などの言い間違え、聞き間違えはありました。「生活の中で学ぶ」幼稚園だったので、ドリルなどやりませんでした。本を読んでもらうのは大好きで理解もできるけど、自分で読もうとしませんでした。字に興味がなく、お手紙交換のお返事を書こうとしませんでした。

小学校入学
ふたりの得意と不得意

 次女のクラスは宿題が多く、泣きながら頑張っていました。小学1年生国語科の「せんせい、あのね」が大苦痛でした。1~2行の文章題でも「読んで!」と(立式、計算は出来る)。ひらがながスッと出てこなくて「『ま』ってどう書くんだっけ」と言ったり。読み書きだけが理由ではないのですが、登校渋りがありました。

 長女は、読み書きよりも算数に苦手意識があり「バカだから」と言い始めました。でも、お友達も先生も学校も大好きでした。次女に本を読んでくれて「お腹の中で、国語と算数を半分こしちゃったんだよ」と言ったりもしていました。

小学校2年生
進級後すぐにそれぞれの担任に相談

 小2の担任には、「読み書き障害(次女)、算数障害(長女)を疑っている。」と進級すぐ伝えました。次女は、真面目で過剰に頑張るタイプなこともあり「他にもっとできない子がいるから大丈夫」と言われました。長女の先生は、小さなことも認めて褒めてくれて、百ます計算の遅さなどで嫌な思いもあったけれど、学校が大好きでした。

書籍を読んで、確信したものの・・・

 その頃、宇野彰先生監修の千葉リョウコさんの著書『うちの子は字が書けない』が発売されました。発売後すぐに購入して読み、確信に変わりました。ですが、どこに相談したらいいのかがわかりませんでした。

市の教育相談室で特別支援教室を知る

 検査をした方がいいんだよなと思いながらも行動に移せなかったある日、「計算出来ても、数字が思い出せなくて時計を見る」と言われ、市の教育相談室に電話、面談を経て、教育相談室でWISCをとりました。

 そこで特別支援教室というものがあり、都内は全校配置になったので校内通級出来ることを知りました。でも、年度内最後の入級会議直前の2月(次回は6月)だったので、ゆっくり考えることになりました。

小学校3年生
あらゆる活動において競い合う学校生活

  クラスも担任も変わり、保護者会で「競い合って伸びる時期」という話がありました。長女の担任が「競わせるタイプ」のベテランの先生になりました。毎日あらゆる活動を班ごとで競わせる生活になり、班ごとで競うことで連帯責任が生まれ、子ども同士で責め合う状況がありました。

大好きだった学校がつらい場所に・・・

「覚える」「早くやる」が苦手なことで責められたり、バカにされる場面が増えました。自分のことだけでなく、友達が責められるのを見るのも辛かったと。漢字指導の質と量や独特な活動の全てが負担でした。大好きだった学校がつらくなり、不安定になり登校もしぶりました。

言語、知覚推理が高く、WMと処理がとても低い。頭でわかっているのに行動がスムーズじゃない、学校のスピード感が合わないから学校が辛くなるタイプ」と色々な場所で言われました。その後も本当に色々あって、色々な先生に相談もする中で、策の1つとして特別支援教室を利用する話が出ました。

小学3年生
「特別支援教室」なのか?「ことばの教室」なのか?

 長女は、算数障害の疑いもあり、特別支援教室を申し込みました。小3の10月に入級しました。まだ通級希望者が少ない時期だったので、スムーズに決まりました。

  WISCを受けた段階で、「読み書き障害は特別支援教室で指導できる」という話でした。相談員の方が元特別支援教室の先生で、具体的なひらがな指導のやり方も教えていただきました。教育相談室も学校も、長女には「ことばの教室」ではなく、「特別支援教室」を勧めました。

母の勘で、次女は「ことばの教室」へ

一方で、ことばの教室から「市内相談の案内」(毎年1回ある)のお手紙がきて、項目の中に「読み書きが苦手(具体例)」がありました。母の勘で、次女にはことばの教室がいいだろうと相談の申し込みをしました。この勘は、正解でした。同時進行で、次女は、ことばの教室につながりました。

   6月に相談、STRAW-Rなどの読み書きの検査を何回かに分けてしてもらい、本人の様子やノートも見てもらいました。入級を申し込み、9月に入級しました。先生方は「普通の教員資格だけど、研修がしっかりあって検査も指導も出来る」方で、他市への異動もことばの教室間でする、経験を積んだ先生が多いように感じました。

 ちなみに、ことばの教室は、入級の有無に関わらず相談を受け付けてくれるようなので、気になる方は自治体の公式HPや、該当エリアの学校HPのことばの教室のページなどで調べてみてください。直通電話が記載されていることも多いので、まずは直接問い合わせてみることをおすすめします。(学校や特別支援コーディネーターなどの認識の齟齬により、ことばの教室は「読み書き」対象外と言われることもありますが、ことばの教室も「読み書き」支援の対象事項です。)

・・・・・・
令和6年度 就学相談の手引き
就学相談の基本と実際 就学相談・転学相談等の手続 P7

入級するまでの流れ

保護者がすること(わが家の例)

  • 学校と市の教育相談室に相談
  • WISC検査やSTRAW-Rなどの読み書きに関する検査を受ける
    (市の教育相談室にて既に面談とWISC検査が済んでいたので、入級までが早かったです。)
  • 体験入級をする
    (個別で授業を体験させていただきました。)
  • 病院を受診する
    (主治医がいなかったのですが、地域の小児科で書類を書いてもらえました。)
  • 書類を記入をする
    (身体面、生育歴、行動面、生活面等、子どもの細かな状況を記入しました。)
  • 教育委員会へ申し込む
    (会議にかけてもらい、決定を待ちました。)
小学校3~6年生
特別支援教室に入級した長女の場合

 特別支援教室は、週に1回2時間。1時間はグループ指導で、工作、運動、集団活動(ゲーム、SST等)の3種類を週ごとに。もう1時間の個別指導は、各自の課題を1対1で。その他の時間は、通常の学級で授業を受けました。

 年間目標と授業の具体的な内容は、次のようなものでした。

年間目標

  • 読みのつまずきを軽減する方法を知り、自分のできる方法で読みやすくすることができる。
  • 算数の基礎的な力を伸ばし、自分の解きやすい方法で計算することができる。
  • 自分の気持ちの状態や伝え方を知り、練習したり表したりすることができる。

こちらをもとに「短期目標、指導の手立て、評価」の個別指導計画を学期ごとにいただきました。

授業の内容(一部)

  • (読むこと)
    単語の区切りのないカードから、単語のまとまりを素早く捉えて読む練習。リーディングトラッカーやカラーファイルで読んでみる。言葉が行をまたがる時には、読みやすく書き換える。
  • (書くこと)
    ホワイトボードで書く(書き、消すの負担の軽減)。
  • (漢字)
    道村式漢字カードを使用するなど、覚えやすい方法を見つける。
  • (計算)
    計算のやり方の工夫。視覚的にわかりやすい教材や手順カードを使用する。
  • (音楽)
    リコーダーの練習の仕方の工夫。リコーダーへの細工(魚の目パッド)で吹きやすく。
  • (SST:ソーシャルスキルトレーニング)
    1週間の気持ちの波を書いてみて、振り返ったり、対処法を考えたりする。
通級での学び

 親の会などで、「通級は、学習の補充はしないと言われた」という話を聞いて、あの時に先生が話してくださったのはこの事だったのかと思い出したことがありました。
最初に「通級で学習するのは、自立活動です」「クラスに戻った時にも自分で使えるように、自分に合った学び方や工夫を見つけて練習します」という話が先生からありました。通級で過ごした時間は、まさにそのための学習時間でした。

 長女は、「みんなみたいにスラスラ書いたり読んだり計算したりできるようになりたい」「みんなと同じようにやりたい。でも出来ない」という思いが強く、バカにされないように気を張って過ごしていました。通うことを周りに知られたくないと、本来は自校の特別支援教室に通うところを、他校に通わせてもらいました。

不安やストレスから入眠困難や体の不調、感覚過敏がひどくなる等色々あり、五月雨登校→完全不登校となりました。外出困難な時期もあり、欠席してしまったこともありますが、通級は続けられました。特別支援教室で勉強すると「わかった」「できた」となりました。通級で身につけた学び方や考え方は、今も長女の中に生きています。(U)

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