「掛け算」を使おう
世の中、九九を覚えられないことは、掛け算そのものを理解・使用できないことと同じだと思われがちですが、私は必ずしもイコールではないと考えています。
なぜそう考えるのかを、今からお話ししたいと思います。
九九はどんな子どもにも短い期間で覚えられる学習法だと思われている方も多いかと思いますが、私の子どもは完全に覚えられるまでに5年かかりました。
「は っぱ ろくじゅうし」でなかなか覚えられないな、と小2当時から感じていたため、子どもには「はち かける はち は ろくじゅうよん」で覚えていいんだよ、と何度も伝えていました。
ですが、子どもは学校では九九で覚えなくてはいけないから嫌だと言って聞きませんでした。小2の時は、まだ障害がわかっていなかったため、私は対処法がわからず、そのまま強引に覚えさせるしかありませんでした。
九九を覚えるにあたって、壁となった特性は
うちの子どもが九九を覚えるにあたって、壁となった特性は
・方法を変えることができない ASD的こだわり
・音と文字が合わない 読み書きの苦手さ
・語呂合わせが苦手 発達障害を抱えているお子さんに見られることがある
になります。

九九が完全に覚えられなかった影響
「掛け算の計算が正確にできない」だけにはとどまりませんでした。特に面積や体積、公約数や公倍数などは、何度自宅や塾で学習しても確実な定着を感じませんでした。
ですが、1つだけ例外がありました。なぜか「円周率」が絡む面積、体積の勉強はスムーズだったのです。思い当たる理由として、円周率の掛け算は数字そのものを暗記していたからではないかと考えています。円周率の掛け算を覚えるテクニックは中学受験用のテクニックですので、学校では学習しません。
円周率の掛け算は、壁に貼った紙で暗記しました。私は覚え方については特に指示をしませんでした。語呂合わせも書かれていましたが、「3×3.14=9.42」と書かれていたので、おそらくこちらを見て覚えたのだと思われます。なぜそう考えるかというと、一度も語呂合わせの数字を言ったところを聞いたことがないためです。
円周率の掛け算は間違えない一方で、小5になっても簡単な計算ではミスを繰り返していました。
掛け算の学習支援
そのため、どう指導すれば良いかとても悩みましたが、小6になって、運よく掛け算の学習支援を受けることができました。子どもが受けた学習支援方法については、下記をご参照ください。ネット上で記事を購入することが可能です。
「LD,ADHD&ASD 2023年1月号」明治図書
・〈実践〉学校現場における算数の困難さのある子どもたちの特徴と指導 『ジャンプでかけ算 九九』
指導前、正確性は8割程度で、暗唱スピードも遅かったとのことですが、指導後は正確性100%、スピードも他のお子さんと同等レベルになりました。そして、なかなか定着せずに困っていた面積、体積の概念の習得が一気に進みました。
数学自体は苦手ではありませんが、代数分野(計算)の習得にとても時間がかかります。おそらく周りと比べて1.5倍以上は時間を要します。本人も計算問題が苦手と言っていますし、塾の先生方もそうおっしゃいます。(学校では単元を予習して授業を受けているため、気が付かれていません。)この原因は、掛け算を確実に使えるようになるまでに時間がかかりすぎたことではないかと、私は考えています。
九九の暗唱ができない=掛け算ができない、ということではありません。あくまで私の子どもの場合ですので、どのお子さんにも上記の方法が合うとは限りませんが、何かしら方法を変えれば覚えられるお子さんも多いかと思います。そして、本人に合う方法で覚えることが、学習内容の定着につながります。
最後に、中学校での様子
掛け算は、算数・数学学習において重要な柱の一つだと私は考えます。
九九を正しく覚えられないなら覚える方法をすぐに変える、時間がかかるようなら計算機を使って正確な数字を出せるようにする、こういったことがのちの学習内容の定着につながるのではないかと、私の子どもを見ていて感じました。
掛け算を「正しく覚える」、「使えるよう」になるための方法は、お子さんによって違うことを、もっと多くの人に知ってほしいと思っています。