
日時
2026年5月24日(日)
場所
うめとぴあ(世田谷区立保健医療福祉総合プラザ)

プログラム
デジタル教科書・音声教材 勉強会&体験会 ―「読む」を支える選択肢を知る一日―
🌅午前の部(10:00〜12:00)
📘「デジタル教科書」勉強会
光村図書出版株式会社
東京書籍株式会社
利用者による活用事例紹介、当事者・保護者による利用申請の現状紹介 ほか
文部科学省教科書課による行政説明
🍱昼休憩
🌇午後の部(13:00〜16:00)
🎧音声教材・読み上げツール勉強会
マルチメディアデイジー教科書 (公財)日本障害者リハビリテーション協会
UD-Book教科書 広島大学
ペンでタッチすると読める音声付教科書 茨城大学
🕒休憩
AccessReading 東京大学先端科学技術研究センター
音声教材BEAM(ビーム) 認定NPO法人エッジ
UDブラウザ(PDF版拡大図書) 慶應義塾大学
🧪体験会場(終日)
✔ 教材の比較体験
✔ タブレット・PCでの読み上げ体験
✔ スキャナ型読み上げペン体験など

こんにちは。
カラフルバード事務局のKです。
午後も盛りだくさんです
午後の部では、各機関から、音声教材の概要や活用方法についてご紹介いただきました。


マルチメディアデイジー教科書


公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会より、マルチメディアデイジー教科書について説明が行われました。
マルチメディアデイジー教科書は、文字の拡大・縮小、読み上げ速度の変更、文字色や背景色の変更など、一人ひとりに合わせて表示方法を調整できるデジタル教材です。
大きな特徴として、音声による読み上げに合わせて、読んでいる箇所の文章がハイライト表示されます。テキスト、音声、画像が同時に表示されるため、「今どこを読んでいるのか」が分かりやすく、読むことに困難のある児童生徒の学習を支援します。
また、拡大表示をしても読み順が維持されるほか、目次や見出しから目的のページへ移動できる機能、ルビ表示の切り替え機能なども備えています。
「紙の教科書では読むこと自体に精一杯で内容理解まで至りにくい児童生徒も、マルチメディアデイジー教科書を活用することで読みの負担が軽減され、内容理解に集中しやすくなる」と説明されました。
■3種類の再生方法
- ブラウザ再生
- 端末のブラウザを利用して再生
- インターネット接続環境があれば利用可能
- 端末の空き容量が少なくても利用しやすい
- オフライン+再生
- ブラウザ再生に保存機能を追加した方式
- 一度ダウンロードしておけば、インターネット接続がない環境でも利用可能
- アプリ再生
- 専用アプリをインストールして利用
- 教科書データを端末に保存して再生
利用する環境や端末の状況に応じて、最適な方法を選択できることが紹介されました。
■申請方法と利用条件
- 教育委員会による申請
- 学校図書館を通じた申請
- 本人、保護者、支援者等による個人申請
利用対象は、「通常の印刷された教科書では読むことが困難な児童生徒」の学習利用に限定。
また、教科書データの無断複製や第三者への譲渡は禁止されており、利用申請は年度ごとに更新が必要。
なお、教科書バリアフリー法改正により、2024年8月からは日本語に通じない外国籍等の児童生徒も利用対象。
利用者数は3万人を超え、令和7年度は利用児童生徒数は34,368名となっており、内訳は次のとおりです。
- 個人申請:12,020名
- 教育委員会・学校図書館による団体申請:22,348名
となっており、754団体への提供実績がある。
また、近年は教育委員会や学校図書館による団体申請が増加していることも紹介されました。
協会ホームページでは、利用申請方法や提供教科書一覧、活用事例などの情報が公開されています。
利用申請後はログインIDとパスワードが発行されるほか、QRコードによるログインにも対応しており、児童生徒がスムーズに利用できる仕組みが紹介されました。
説明の最後には、「無料で利用できる教材なので、必要な児童生徒にぜひ活用してほしい」と呼びかけがありました。
【質疑応答】
Q. ブラウザ再生中に、現在表示している箇所が紙の教科書の何ページに当たるか確認できますか?
A.デイジー教科書のブラウザ版では、目次から目的の箇所へ移動することはできますが、現在表示している箇所が紙の教科書の何ページに相当するかを表示する機能はありません。これは、ブラウザ版が「リフロー表示」を採用しており、紙の教科書とは異なるレイアウトで表示されるためです。こうした要望については認識しており、今後の対応について検討していく。
UD-BOOK
広島大学の氏間先生より、音声教材「UD-BOOK」について説明が行われました。
氏間先生は、これまで視覚障害教育やアクセシブル教材の研究・開発に長年携わってこられました。その中で、従来の音声教材では教科書本来のレイアウトを保持したまま利用することが難しいという課題や、利用者から「教科書と同じレイアウトで読みたい」という要望があったことを受けて、「UD-BOOK」の開発に取り組まれたと説明されました。
UD-BOOKは、教科書のレイアウトをそのまま表示しながら音声で読み上げることができます。読み上げに合わせて該当箇所がハイライト表示されるため、どこを読んでいるのかを視覚的に確認することができます。授業中に教師の指示に合わせやすく、友達との学び合いにも活用しやすいことが特徴です。
また、文字だけを抜き出して表示する「文字モード」も搭載されています。文字サイズや行間、配色の変更に加え、ふりがなの表示・非表示や色の変更、ひらがな・カタカナの選択など、利用者の特性に応じて細かく設定することができます。本モードと文字モードは連動しており、自分にとって読みやすい環境を整えながら学習を進めることができます。
さらに、教科書全体を通してページ番号を指定して移動できる機能や、巻末資料など別のページを確認した後に学習を続けやすい仕組みも紹介されました。加えて、読み上げに合わせて表示されるハイライトの長さを変更することもでき、文字と音の対応を学びたい場合や、文章全体の内容を理解したい場合など、目的に応じた使い方が可能となっています。
読みの困難が学習に与える影響についても説明がありました。氏間先生は、漢字の習得が1年程度遅れているだけでも文章の内容理解が難しくなる場合があることを示し、「初見で読めること」が学習において重要であると強調されました。「何度か練習すれば読める」のではなく、授業やテスト、図書など日常の学習場面で初めて目にする文章を読めるかどうかが大切であるとのことでした。
また、読みの困難がある状態を放置すると、内容理解の遅れや学習意欲の低下につながり、学力差が拡大する可能性があることも紹介されました。こうした状況を防ぐためには、「読めなくなってから」ではなく、早い段階で適切な支援を行うことが重要であると説明されました。
文部科学省も、読みの困難がある児童生徒に対して、状況に応じて組織的・計画的に音声教材等を活用することを示していることに触れ、合理的配慮としてだけでなく、授業改善や学習支援の一環としても活用を検討してほしいと呼びかけられました。
現在は地図帳の音声教材化にも取り組んでおり、地図上の地名や情報を音声で確認できる教材の開発が進められていることも紹介されました。
最後に氏間先生は、「音声教材は子どもたちが主体的に学ぶための支援ツールであり、必要な子どもに適切な時期に届けることが大切である」とお話されました。
ペンでタッチすると読める音声付教科書
茨城大学の藤芳先生より、音声ペンを活用した「音声付き教科書」について紹介がありました。
音声付き教科書は、見た目は通常の教科書とほぼ同じですが、紙面に印刷された見えない二次元コードを音声ペンで読み取ることで、該当箇所の音声を再生できる教材です。
現在、小学校では国語や社会科、中学校では国語や社会科を中心に提供されており、すべての教材に原寸版と拡大版が用意されています。社会科の拡大版については、ランドセルに入るサイズを考慮した独自の工夫も行われています。
見えないコードを読み取る仕組み
音声ペンには赤外線カメラが搭載されており、紙面上に印刷された見えない二次元コードを読み取ります。
教科書には本文だけでなく、写真や図表、資料中の文字、目次や欄外の説明などにも音声が割り当てられており、ペンでタッチした箇所に対応する音声が再生されます。
そのため、本文だけでなく資料や図表も含めて学習内容を理解しやすくなっています。
「紙の教科書を使いながら学べる」ことが大きな特徴
音声付き教科書の大きな特徴として、「紙の教科書を使いながら学習できること」を挙げました。
音声は文ごとに再生される仕組みになっており、次の文章を聞くためには自分で次の文頭を探して音声ペンでタッチする必要があります。
一見すると不便にも思えますが、音声を聞きながら文字を目で追い、次の文章を探すことで、自然と読む練習につながるよう工夫されています。
音声を聞くだけの受動的な学習ではなく、「聞きながら読む」という能動的な学習になりやすい点が特徴です。
実際に利用した児童の中には、音声付き教科書を活用した結果、通常の教科書だけで学習できるようになった事例も紹介されました。
一方で負担もある教材
音声付き教科書は、音声を聞きながら次の文章を探す必要があるため、一定の認知的な負荷も伴います。
藤吉先生は、脳内で音声を保持しながら次の読み上げ箇所を探すことで様々な認知機能が働く一方、使いこなせるようになるまで時間がかかる児童生徒もいると説明されました。
そのため、比較的軽度の読み困難があり、文字を目で追うことはできる児童生徒に向いている場合が多いとのことでした。
また、重度の読み困難があり、再生箇所を目で追うことが難しい場合には、連続再生が可能なデイジー教科書などの方が適している場合もあると紹介されました。
「みんなと同じ教科書」を使えることの意義
音声付き教科書は、見た目が通常の教科書とほとんど変わりません。
そのため、特別な教材を使っていることが周囲から分かりにくく、「みんなと同じ教科書を使える」という安心感につながることがあります。
利用者からも、
- 特別扱いを嫌がる子どもでも抵抗なく使えた
- 音声を聞きながら学習することで「自分で読めた」という実感が得られた
- 通常学級での学習につなげやすかった
といった声が寄せられているそうです。
また、紙の教材であるため自由に書き込みができ、漢字にふりがなを書いたり、重要な箇所に印を付けたりしながら、自分だけの教科書を作ることもできます。
利用者の声をもとに改良を継続
現在の音声ペンには、
- 再生速度の変更
- 再生モードの切り替え
- 録音機能
- スピーカー内蔵
- イヤホン接続
などの機能が搭載されています。
一方で利用者からは、
- 電池残量が分かりにくい
- Bluetoothイヤホンに対応してほしい
- 他教科にも対応してほしい
- 利用状況を記録できる機能がほしい
といった要望も寄せられており、継続的な改善が進められています。
お試し利用や教材貸出も実施
購入前に実際の使用感を確認できるよう、音声付き教科書の短期貸出制度も実施されています。
約2週間の貸出が可能で、利用者は返送料のみを負担します。
また、録音シールの無償提供も行われており、教科書以外の教材やプリント、ドリル、テストなどにも音声を付けることができます。
教科書以外への活用も広がる
発表では、音声ペンを活用して地域教材やオリジナル教材を音声化する事例も紹介されました。
録音機能や録音シールを活用することで、教員や保護者が独自に教材へ音声を付与することも可能です。
教科書だけでなく、単元テストや定期テストなどへの活用も支援していきたいと述べられました。
一方で、音声付き教科書は高精度なカラー印刷が必要であり、近年の印刷費や部材費の高騰により、教材の製作や無償提供を継続することが難しくなってきている現状についても報告がありました。
最後に、今後も音声付き教科書と音声ペンの安定供給に取り組みながら、読みの困難がある児童生徒への支援を継続していきたいとお話されました。
【質疑応答】
質疑応答では、音声付き教科書の利用条件や費用、利用期間などについて質問がありました。
まず、音声ペンで利用するためのコードシールのみの提供は行っていないとの説明がありました。これは同じ技術を活用した他社教材との関係も考慮し、音声付き教科書の利用者に限定して提供しているためとのことでした。
また、利用にあたって医師の診断書などは必要なく、申請フォームから申し込むことができることも紹介されました。
費用については、音声付き教科書の冊子代が1教科あたり5,000円、音声ペンが5,500円、送料・手数料が1,500円で、有償利用の場合は合計12,000円程度となるとの説明がありました。なお、無償提供の対象となる場合は送料を含めて無償で提供されます。
さらに、SDカードの利用についての質問もありました。提供されるSDカードには複数の学年分の教材データが収録されているため、新しいSDカードが届いた後も、過年度の教材については引き続き利用できるとのことでした。
ただし、教科書改訂が行われた場合には対応データも更新されるため、改訂前の教科書に対応したデータは利用できなくなる場合があることも説明されました。
AccessReading
東京大学先端科学技術研究センター社会包摂システム分野様より、「AccessReading」の音声教材についてご紹介いただきました。
まず「紙の教科書が読めない」とはどういうことかについて説明がありました。
紙の教科書が見えにくい・見えない児童生徒、ページをめくることが難しい児童生徒、そして文字は見えていても読むことに時間がかかったり、大きな負担を感じたりする学習障害(LD)やディスレクシアのある児童生徒など、さまざまな理由で紙の教科書が学びの障壁となる場合があります。
AccessReadingは、東京大学先端科学技術研究センターと東京大学附属図書館が共同で運営するオンライン図書館で、文部科学省の委託研究事業として音声教材の制作を行っています。
主な対象は中学生・高校生で、地図と書写を除く全学年・全教科の教科書に対応しています。
特徴として挙げられたのは、専用アプリを利用するのではなく、パソコンやタブレットに標準搭載されているアクセシビリティ機能や読み上げ機能を活用する点です。
当日は、Word形式(DOCX)と電子書籍形式(EPUB)の教材を実際に読み上げる様子が紹介されました。文字サイズや背景色の変更、行フォーカス機能、文字間隔の調整など、一人ひとりの読みやすさに合わせて表示を変更できることも大きな特徴です。
また、利用者の活用事例として、
- 授業前に教科書を聞いて予習する
- ハイライト機能を使って英語の品詞を色分けする
- Wordをノート代わりに活用する
- 検索機能を使って教科書の内容を探す
といった使い方が紹介されました。
一方で、AccessReadingの音声教材は機械音声による読み上げを採用しているため、読み間違いが生じる場合があります。また、ルビ(ふりがな)は標準では付いていません。
そのため、小学校低学年では朗読音声を採用した他の音声教材の利用を勧めているとの説明もありました。
発表の最後には、「自立した学習者」を育てるというAccessReadingの理念が紹介されました。
音声教材を利用するだけでなく、端末に備わっているアクセシビリティ機能やOCR機能を活用できるようになることで、教科書だけでなく、配布プリントやWebサイト、参考書など、さまざまな情報へ自分自身でアクセスできる力を身につけてほしいというメッセージが印象的でした。
音声教材BEAM(ビーム)
NPO法人EDGEより、音声教材「BEAM(ビーム)」についてご紹介いただきました。
NPO法人EDGEは、ディスレクシア(読み書きに困難のある特性)の当事者や家族が中心となって活動している団体です。まずディスレクシアについて説明がありました。
ディスレクシアは、文字を読むことに大きな負担が生じる特性で、音読に時間がかかる、漢字を覚えにくい、板書が難しい、長文で疲れやすいといった困難が見られます。読めないのではなく、読むこと自体に多くの脳のエネルギーを使うため、内容を理解したり記憶したりするための余力が少なくなってしまうとのことでした。
そのような子どもたちにとって、「聞いて学ぶ」ことは重要な学習手段の一つです。そこで開発されたのが音声教材BEAMです。
BEAMは文部科学省の音声教材に関する調査研究事業の中で生まれた教材で、小学校の教科書は全教科書会社の採択教科書を音声化、中学校では主に国語・社会・理科、高校では国語・社会を中心に音声化されています。
教材はMP3形式で提供されており、スマートフォンやタブレット、パソコンなどで手軽に利用できます。また、学校で利用されているロイロノート等での共有もしやすく、単元ごとに配布することも可能とのことでした。
発表では、BEAMの特徴についても紹介されました。単なる機械読み上げではなく、本文の流れが自然につながるよう構成が工夫されており、聞くだけでも内容を理解しやすいよう編集されています。また、読み間違いや不自然な区切りを減らすため、細かな調整が行われていることも説明されました。
古文教材の音声化にも対応しており、本文と用語解説を分けて収録することで、学習目的に応じて活用しやすくなっています。
利用者からは、「事前に聞いて授業に臨んだことで授業への参加意欲が高まり、テストで高得点につながった」「繰り返し聞くことで理解が深まった」といった声が寄せられている一方で、聞く学習に慣れていないため、すぐには効果を実感できないケースもあるとの紹介がありました。
発表の後半では、「読むこと」がどれほど高度な認知活動なのかについても説明がありました。ディスレクシアのある人は、文字を追うことに多くのエネルギーを使うため、内容理解や記憶に十分な力を回せないことがあります。その負担を音声で補うことで、理解や学習に集中できるようになるという考え方が示されました。
また、近年は多機能なデジタル教材が増えている一方で、自分に合った学び方を理解し、必要な機能を選択して活用する力も重要であると指摘されました。まずは「聞いて学ぶ力」を育み、学習内容を理解する経験を積み重ねることが、将来的な主体的な学びにつながるというメッセージが語られました。
最後に、「学習を諦めるのではなく、自分に合った方法で学び続けられる環境を広げていきたい」という思いとともに、BEAMの紹介が締めくくられました。
UDブラウザ(PDF版拡大図書)
慶應義塾大学の中野泰志先生より、iPad・iPhone向けの教科書閲覧アプリ「UDブラウザ」と、それで利用できる「PDF版拡大図書」について紹介がありました。
UDブラウザは、もともと弱視の児童生徒向けに開発されたアプリですが、ユニバーサルデザインの考え方に基づき、発達障害や肢体不自由のある子どもを含め、多様なニーズに対応できるよう設計されています。
大きな特徴は、「教科書とまったく同じレイアウトで閲覧できること」と、「読みやすさを重視したリフロー表示へ切り替えられること」です。授業中は紙の教科書と同じ見た目で利用しながら、必要に応じて読みやすい表示へ変更できるため、一人ひとりの学習スタイルに合わせた活用が可能です。
また、文字の拡大や配色変更、UDデジタル教科書体への変更、音声読み上げ、ルビ表示、縦書き・横書きの切り替えなど、多様なアクセシビリティ機能を備えています。ページジャンプ機能や検索機能もあり、授業中に指定された箇所へ素早く移動することができます。
さらに、マルチメディアDAISY教科書や各種音声教材との連携も可能です。家庭では音声教材で予習を行い、学校では教科書と同じレイアウトのPDF版拡大図書を利用するといった活用例も紹介されました。
教科書以外にも、学校で配布されたプリントをOCRで読み取って音声化できるほか、国立国会図書館の「みなサーチ」やサピエ図書館の資料を利用することもできます。学習支援だけでなく、読書環境の充実にもつながるツールとして活用されています。
また、大学入学共通テストでも利用されている高いセキュリティ機能を備えていることも紹介されました。
試験時には他のアプリを起動できない「テストモード」を利用できるため、公平性や安全性にも配慮されています。
質疑応答では、OCR機能の読み上げ精度について質問がありました。これに対し、ルビ付きの資料についてはルビをもとに読み上げが行われること、今後は読み上げ用ルビの充実を進めていく予定であることが説明されました。
一方で、音声合成による読み上げではイントネーションの再現に限界があるため、そのような場面では音声教材との併用が有効であるとのことでした。
また、「デジタル教材の利用によって、端末操作に集中しすぎて授業の指示を聞き逃してしまうのではないか」という質問もありました。これに対しては、広島大学での支援実践を例に、導入初期には教師による丁寧なサポートが重要であり、座席配置の工夫や合図による注意喚起など、人的支援とデジタル教材を組み合わせることが大切であると説明されました。
紹介されたパンフレットには、利用した児童生徒や保護者、教員からの声も掲載されており、「学習意欲が向上した」「教科書を探す時間が減った」「成績向上につながった」「家庭学習に取り組むようになった」といった成果が報告されていました。
- 教科書と同じレイアウト表示とリフロー表示を切り替え可能
- 拡大、配色変更、音声読み上げ、UDフォントなど豊富なアクセシビリティ機能
- マルチメディアDAISY教科書や音声教材との連携が可能
- OCRを利用して配布プリントの読み上げにも対応
- 国立国会図書館「みなサーチ」やサピエ図書館の資料も利用可能
- 大学入学共通テストでも採用されている高いセキュリティ機能
- 導入時は人的支援との組み合わせが重要
- 学習意欲向上や成績向上につながった事例が報告されている



個人的な感想
今回の勉強会では、中野先生から「タッチアンドリード」のお話もありました。タッチアンドリードは、現在は早稲田大学の巖淵守先生が開発されたアプリです。数年前、国際福祉機器展(HCR)で巖淵先生にお会いした際、「タッチアンドリード2の開発を今か今かと待っていました」とお伝えしたところ、苦笑いされてしまったことを思い出しました。
我が子は今年、高校生になりました。
幼稚園年長の頃から読み書きの苦手さに気付き、小学1年生からマルチメディアデイジー教科書を利用してきました。学校で使用することはありませんでしたが、毎日の音読宿題では欠かせない存在でした。
知人の心理士からデイジーの存在を教えてもらわなければ、我が家の音読宿題は成り立たなかったと思います。それほど大きな支えでした。
小学1年生から3年生までは光村図書の教科書でしたが、4年生で教科書会社が変わると読み手の声も変わり、違和感から使わなくなってしまいました。その後、東京書籍のデジタル教科書を購入し、活用していました。当時はLentrance®の個人購入が始まる直前で、学校を通じて地域の書店から購入したことを覚えています。
小学5年生からはAccessReadingも申請しています。
振り返ると、この9年間でデジタル教科書も音声教材も大きく進化しました。デイジー教科書は再生アプリだけでなくブラウザ再生機能も登場し、ログイン方法もQRコードが使えより手軽になりました。
我が家では「デイジーポッド」「ChattyBooks(チャティ・ブックス)」「しゃべる教科書」など、その時々でさまざまな再生アプリを利用してきました。
平成30年度の「音声教材普及推進会議」に参加したことがあります。
当時の議事次第を見ると、今回ご登壇いただいた団体の中にも当時から活動されていた団体があります。一方で新たな団体も増え、選択肢は確実に広がっています。
子どもによって合う教材は異なります。「さまざまな選択肢があり、その中から自分に合うものを選べる」ことが大切だと改めて感じました。
今回の勉強会が、必要としている子どもたちや保護者の皆さんにとって、自分に合った「読む」を支えるツールと出会うきっかけになればうれしく思います。
(事務局K)


今回、このような大きなイベントが開催できたのも、日頃よりカラフルバードを支えてくださっているサポート会員・ご寄付くださった皆さまのおかげです。心より感謝申し上げます。
子どもたちや、その保護者・支援者の皆さまへ、「多様な学び」の選択肢や情報を届けられるよう、今後も活動を続けてまいります。
引き続き、応援・ご支援をよろしくお願いいたします。


