易疲労性とは、周囲よりも疲れやすいことを指します。
ディスレクシアは、文字の読み書きに困難を感じる状態に加えて、文字や本を読むと疲れやすい(=易疲労)、文字を書くのにエネルギーを多く使って疲れやすい(=易疲労)という状態がある場合が多いです。
できるとできないの間に、「頑張ってどうにかできる」という状態の時にも、この易疲労性を考えていただけたらと思います。
この易疲労性についてを測る検査などはまだ開発されていませんが、状態像としては存在するものですので、支援者の方々には「読めている、書けているから支援は不要」とは考えずに、「がんばって今の読み書きの状態があり、そこには読み書きに対して相当のエネルギーが割かれてしまっていること(考える方へはエネルギーが使えていない可能性があること)」を念頭に支援にあたっていただきたいところです。
参考資料
▼ LDへの合理的配慮と医療機関での取り組み ja (jst.go.jp)
児童精神科医
吉川徹 先生( @afcp)
(引用)
p25 学習の困難については、その多くは相対的なものであることも共有しておく必要がある。具体的には、人一倍の時間や労力を使えば文字が読めたりかけたり計算できる子どもは少なくない。周囲の大人が「できる」
と判断するが故に、子どもの疲労を招き、それが学習に対する拒否に繋がっている事例を見聞きすることは多い。「できる」と「できない」の間に「できるけど疲れる」が挟まっていることを認識しておくべきである。
▼子供のディスレクシア(読み書きの学習障害)について (sawaruglyph.com)
触るグリフ代表 言語聴覚士
宮崎圭佑 先生( @sawaru126)
(引用)
◎読み書きに伴う疲労(易疲労性)が特に重要
ディスレクシアで重要な特徴として、文字の読みに時間がかかる、努力しないと読めない、読み書きに伴う疲労(易疲労性)です。読むのがシンドイので、文字を避けるようになり、語彙力や知識が身につかずに学校の勉強も遅れてしまう学業不振となります。読み書きの問題が段階的に影響を及ぼします。
読み書きの問題が学業不振を招く、負のスパイラルになる前に、その子にあった勉強法を行うことが大切です。
▼学習をあきらめてしまっているLDの子の学びを支える方法とは|みんなの教育技術 (sho.jp)
公立小学校教諭
井上賞子 先生
(引用)
◎「やれば、できる」が子どもと教師を追い詰める
確かに200%の気合を入れれば、LDの子ができることは増えるでしょう。けれどもへとへとになるので、後が続かないのです。
教師が『やれば、できる』と言うのは、『あなたには、その力がある』と励ましたいからです。けれども、200%の気合で到達したラインを、『やれば、できる』とベースラインにされてしまうと、LDの子は厳しいんです。少しでも気を抜くと、『怠けているからできない』という解釈になってしまいますからね。
▼読み書き障害の子への理解とその子たちへの「巻き返し策」|みんなの教育技術 (sho.jp)
公立小学校教諭
井上賞子 先生
(引用)
着目すべきは読み書きへの「易疲労性」
「さ・く・ら・……」といった逐次読みになる子は、読むことに対して急傾斜の階段を上っているように莫大なエネルギーが必要です。
読みに困難がある子は、端的に言えば文字から情報をとるのが難しい子です。ここでのポイントは、本人も『自分は文字が読みづらい』と気が付いていないことが多いということです。(中略)テストで点数をとるには、内容理解以前に、問題を『読む』力が必要です。ある時、理科のペーパーテストが0点だった子に、口頭試問したら100点だったことがありました。
▼タブレットPCを学習サポートに使うためのQ&A(特別支援教育サポートBOOKS)
北陸大学教授
河野俊寛 先生 著
(引用)
p66・67
(時間をかければ読み書きができる。それでも必要でしょうかという質問の回答)
サポートツールを上手に組み合わせて勉強することを勧めます。文字を読んだり書いたりすることに時間をかけた結果、疲れ果ててしまって、他の勉強ができなくなってしまうかもしれないからです。(中略)これは、読み書き障害のある子どもの特徴として、「易疲労性」として指摘されていることです。(中略)この疲労については、私たちが苦手な外国語の読み書きをしている場面を想像してください。(中略)何十ページもある本を読まないといけなかったり、数ページにわたる文章を書かなければいけなかったりすると、途中で疲れてしまわないでしょうか。(中略)文字の読み書きそのものが目的ではなく、学習が目的です。だとすると、楽に学習できる手段を選ぶべきではないでしょうか。