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母の心子知らず、でもいい。3

ー 直也が不登校になったきっかけは、中学の授業がわからないことだった。英語だったか、数学だったか。小学校に比べて急に難易度が上がったことに、順応できなかった。「勉強がわからないから、学校に行くのが嫌だ」そんなことを母親に訴えていた記憶が頭の片隅に残っている。勉強についていけない。ただそれだけのことで、直也はあらゆることに自信をなくしていった。自分をダメな人間だと蔑み、人目のない安全な場所に引きこもってしまった。

ー やがて直也は勉強のつまずきから、不登校になった。勉強が苦手ならさせなくてもいい。ずいぶん後になってからだが、自分は両親のその考え方が間違いだったのだと気づいた。勉強が苦手な子どもでも、学力は上げてやらなければいけないのだ。

     ー「金の角持つ子どもたち」藤岡陽子 作より抜粋

「金の角持つ子ども達」は、中学受験に挑む子供達の物語です。その中の塾講師の弟「直也」は、勉強のつまずきから不登校となってしまいます。彼に学習障害があったのかは分かりません。

ただうさ丸が、まだ低学年の読み書き障害が分からなかった頃、毎朝「死ぬ」と泣いていたことを思い出しました。

保育園の頃のうさ丸は、劇のトップバッターでソロを歌い上げたり、運動会で選手宣誓をしたり、毎日を積極的に楽しんでいました。(ちなみに全員に活躍の場を与えてくれる保育園で、特別歌が上手い訳でも、運動ができるわけでもありません。)

それが小学校に入ってしばらくした頃から、泣いて目を覚まし、ただ「もう死ぬ」と訴えるようになりました。

あの頃を振り返り、うさ丸が漏らした言葉です。

「なぜ、みんなが、あんなに早くできるのか、自分ができないのか、ずっと分からなくて、分からないまま一人ぼっちだったんだよね。」

お友達は沢山いました。勉強についていけないことを、からかわれたりもしていなかったと思います。ただ勉強が評価基準となる学校の中で、自分だけができない理由も分からず取り残されることは、とてつもない恐怖と孤独だったのだと思います。

結局うさ丸が学校生活を楽しめるようになったのは、「算数」がついていけるように、そして「自分もできる」と自信を持ったことが1番大きなきっかけだったと思います。

何があっても、自分を支えてくれるもの、揺るがない自信を持てるものがあれば良いけれど、幼いうちは、それがまだ見つかっていない子も多いと思います。

人よりできる必要はないけれど、勉強で失ってしまった自信は、勉強でしか取り返せないのかもしれないなと思うのでした。

(人よりできなくても、自信を失ってなければ、それで良いと思います。幸せって自分の心が感じるものだから)

TORI

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